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読書感想文 アーカイブ

2005年08月03日

CODE COMPLETE 第2版(上)

CODE COMPLETE 第2版(上)を読了しました。

一言で言うと、本書はプログラミングの総合ガイドです。
章の終わりにはたくさんの参考資料が紹介されているので、より知識を深めたいときには役に立ちそうです。

第1部「基礎を固める」は、ソフトウェアコンストラクションの概念から上流工程までを解説します。
気になった箇所では、

言語の「中で」プログラミングしているプログラマは、自分の考えを、言語が直接サポートしている構造だけに限定してしまう。 したがって、使用している言語ツールが初歩的なものであれば、プログラムの考えも初歩的なものになる。

とありました。文化の違う複数の言語を習得するのも、表現力に幅ができて良いと思います。

第2部「高品質なコードの作成」は興味深く読みました。後述します。

第3部「変数」、第4部「ステートメント」はコーディングのテクニックを解説します。
経験の浅いプログラマには大変参考になると思います。
また、経験豊富なプログラマにとっても、経験則で知っていることを理論的に理解することは、後輩に教えるときなどに役立つでしょう。

さて、第2部「高品質なコードの作成」です。

複雑さへの対処は、ソフトウェア開発における技術面での最も重要なテーマである。

そして、

すべてのソフトウェア設計手法の目標は、複雑な問題を単純な問題に分割することである。

と言い切ります。

オブジェクト指向プログラミングは、複雑さに対処するためのさまざまなテクニックを提供する。

オブジェクト指向プログラミングを「複雑さへの対処」という視点から見ると理解しやすいかもしれません。
複雑な問題を分割し単純な問題にしたのが「クラス」。クラスは一つのことに集中できるようにします。
「カプセル化」はクラス内の複雑さを隠蔽します。
「抽象化」は、サブクラスの詳細を無視することによって、複雑なものを単純に見せます。
「デザインパターン」も複雑な設計をパターン化することにより、複雑さを緩和します。
ちなみにRubyではデザインパターンをモジュールで提供しています。たとえばSingletonパターンでは

class SomeSingletonClass include Singleton end

SingletonモジュールをincludeするだけでSingletonパターンを実現しています。
複雑な実装はモジュール内に隠蔽されています。

逆に、複雑さを増大させる使い方はオブジェクト指向プログラミングの誤用です。
典型的な例が、深すぎる継承階層です。

「複雑さへの対処」という視点からオブジェクト指向プログラミングを見ると、理解しやすいと思いました。

あと、おもしろかったのは、

  • ドキュメントだけではクラスの使い方がわからない場合、ソースコードを見て実装を調べないこと。作者に質問すること。
  • 作者は質問に答えないこと。ドキュメントを更新し、新しいドキュメントを見てもらうこと。

というところ。個人同士のやりとりは、他人のコードの助けにならない、ということ。

2005年09月24日

おすすめ青色申告本

フリーランサーなら、フリーのための青色申告デビューガイド改訂版!!はお薦めの一冊です。

本書の最大の特徴は、対象をフリーランサーに限定していることです。

一般的な青色申告本は、幅広い業種に対応するために、関係のないことがたくさん書かれていて、さっぱり理解できません。

その点、本書は対象をフリーランサーに限定し、必要なことだけを懇切丁寧に教えてくれます。

本書の対象とするフリーランサーとは、「基本的に一人で仕事をこなす自由業の人」です。

本書で言う自由業とは、

  1. 店舗を持たない
  2. 在庫を持たない
  3. 従業員を持たない

であり、Webデザイナー、プログラマー、インストラクター、ライター、イラストレーターなどです。

これからフリーになる人や白色申告をしている人は、本書を是非読んでください。わずか1400円の投資で、たくさんのメリットを得られるはずです。

本書の著者は、普通のフリーライターの人です。経理の専門家ではありません。だからこそ、初心者がつまずく点をしっかり抑え、初心者でもわかる内容にできたのではないでしょうか

本書では会計ソフトにやよいの青色申告を使用しています。 ですが、本書の内容は、[2]やよいの青色申告に限定されません。 私が使っているのはやるぞ!青色申告 2005ですが、問題なく使えています。

amazon.co.jpへのリンク

2005年09月25日

コードコンプリート (下)

本書は、数多くの研究結果や経験から導き出されたコンストラクションのベストプラクティスを解説する。

本書を読んで驚いたのが、話題がかなり新しいことである。エクストリームプログラミングやテストファーストプログラミングも検証している。

本書では、「テストファーストプログラミング」を、過去10年間に登場したソフトウェアプラクティスの中で最も効果的なものの1つであると同時に、一般的なアプローチとしても優れたものであると考えている。

豊富な研究結果から、特定の方法を盲信したりしない。問題点を指摘する。

平均的なプログラマは、自分はテストカバレッジ95%を達成したと考えるが、実際に達成しているのは、せいぜい80%、最悪の場合は30%、平均的なケースで50~60%である。

そして、対策を講じる。

デペロッパーテストは価値のあるものであると同時に、それだけでは適正な品質保証を実現するのに十分でない。このため、独立テストやコラボレーティブコンストラクションなど、他のプラクティスで補う必要がある。

章の終わりに、多くの参考文献が紹介されている。知識の不足を実感したり、より深い知識を習得したくなったときに便利だ。むしろ、本書を読み終えた後、次に読みたい本がたくさんありすぎて困るかもしれない。

本書は、経験の浅いプログラマにとって、これからの道しるべとなる。経験豊富なプログラマにも、知識を体系的に再構築し不足している知識を補うのに役立つだろう。

2005年09月26日

チェンジ・ザ・ルール!

要点は次の2つ。

  • ITの利益を享受するには、IT導入前のルールを変えなくてはならない。
  • ソフト会社はテクノロジーだけでなく、バリューを提供するのだ。

ソフト会社やソフトウェアの導入を検討している会社が直面する一般的な問題と解決方法が描かれている。是非とも読んでもらいたい一冊だ。

「テクノロジーの『物理的な』限界を取り除くだけでは不十分だ。たとえ表面的には取り除かれたとしても、実はまだ存在している。ルールが変わらなければ、完全になくなることはない。」

新しいソフトを導入して今までの物理的な制約を取り払っても、物理的な制約があった時代のルールをそのままにしていては、導入したソフトのメリットを享受することはできない。ソフトをインストールしておしまい、ではないのだ。

ITの導入は重要な経営戦略である。パソコンに詳しい社員に任すような仕事ではない。そのことを知らず、今までにも多くの企業が失敗してきた。

「それともう一つ、三つ目はトップマネジメント、つまり経営幹部の使う言葉。利益だ。これが最も重要だ。純利益や投資収益率とかいったお金の話だ。キャッシュだよ。私のところの人間も君のところの人間も、この言葉は話さないじゃないか。」

ソフトを導入する会社は、そのソフトが欲しいのではなく、ソフトがもたらす利益が欲しいのだ。ソフト会社は、データフローとかインテグレーションとか、コスト削減や生産性の向上でなく、どれだけの利益をもたらすのか説明できるか。

「考えてもみてください。もしシステム導入の早い段階で、利益的に何らかの結果を出すことができればどうなるのか。プロジェクトをずっと円滑に進めることができるはずです。」

大企業に比べ体力のない中小企業は、その分リスクを冒すことに対してより慎重だ。システムの導入でどれだけ利益が向上するか示すこと、早い段階で利益を出すこと、これは中小企業のシステム導入において重要なことかもしれない。

たとえば、エクストリーム・プログラミング(XP) では、ビジネスの最も価値のある機能から順に、短いサイクルでリリースする。短期リリースによって、顧客企業の利益を最大化する。他にも様々な方法があるだろう。

「コンピュータにシステムを追加するのは簡単なことだ。どんなシステムでも追加できる。そんなことは問題じゃない。本当に結果を出したいなら、それ以上の努力が求められるさ」

システムを導入する企業は、「それ以上の努力が求められる」ことをしっかり理解しなければならない。さもなければ、結果を出すことはできない。覚悟はできているか。

ソフト会社はそのことを説明できているだろうか。

2005年09月30日

Rubyを256倍使うための本 魔道編

RDについて書かれた、おそらく唯一の書籍。

RDの入門から始まり、HTMLの作成や、Rubyのリファレンスマニュアルの書き方、RDIndexや作表などの高度な使い方まで、幅広く解説している。著者はRDを活用しているだけあり、内容は実践的だ。

RDの構文は読みやすく、書きやすい。私もこの本を読んで以来、ドキュメントはRDで書くようになった。

ただ、残念な点は索引がないこと。知りたいことを探すのがちょっと大変だ。

2005年10月10日

セクシープロジェクトで差をつけろ!

ホワイトカラーの仕事は、90%以上が業務管理ソフトに取って代わる。ホワイトカラー労働者が生き残るには、すごいプロジェクトで差をつけろ!

本書は、つまらない仕事をすごいプロジェクトに変える50の方法を紹介する。

やる気を引き出すだけの本ではない。

本書が扱うのは夢物語ではなく、現実のプロジェクトと、それを企画・遂行する過程で直面する現実の問題である。

本書では、プロジェクトを「創造」「売り込み」「実行」「退場」の4つの段階に分けている。それぞれの段階ですごいプロジェクトにする50の方法を紹介する。50の方法には、数個の行動を提案している(『やってみよう』)。

組織にせよ、個人にせよ、人生とはプロジェクトであり、充実した人生を送るには、すごいプロジェクトをやるしかない。

仕事に情熱がもてるようになる一冊です。

2005年10月17日

ガズーバ!―奈落と絶頂のシリコンバレー創業記

本書は、シリコンバレーでの起業の奮闘記だ。読み物としてもおもしろいし、シリコンバレーで起業するための情報源としても有用だろう。

起業を考えている人やベンチャー企業への就職を考えている人は、この本からたくさんの情報とエネルギーをもらえると思います。

シリコンバレーを知りたい人にも参考になると思います。

以下、個人的なメモ。

  • プロトタイプ

    二か月ですごいインパクトのプロトタイプを作ります!

セクシープロジェクトで差をつけろ!』でも、すばやく試作品を作ることを薦めている(「試作に狂え」)。
まず作ってみること、やってみること、それが重要だと思う。

  • インキュベーター

インキュベーターとは、「スタートアップが資金面からなかなか手に入れられない優秀なオフィスマネージャ、データベース管理者、システム管理者などを四~五社でシェアさせようという仕組み」らしい。
単に安い家賃で部屋を貸し出すことじゃないんですね。

  • シリコンバレーの文化

    「タームシートを受け取ったので、弁護士が必要ですがお金がありません。」
    「お客様、ご心配なさらないでください。そんなのは出世払いでけっこうです。」

シリコンバレーは、単にベンチャー企業が集まっているだけではない。
関連するビジネスもまた、ベンチャービジネスを理解しているようだ。

* シリコンバレーのスピード

シリコンバレーにおける会社の成長段階は、相場的には、

  1. 六~八か月ぐらいで十人ぐらいの体制で商品が実用できであることを証明する。
  2. つぎの六か月ぐらいでビジネスが大きくなることを証明する。
  3. つぎの八か月ぐらいで百人規模の会社にする。

わずか二年で十人規模の会社が百人規模の会社に成長する。

  • プロパテンション指数

    PI = A × N
    A: メッセージを受け取った人が興奮して友人にすすめる割合
    N: 興奮した人がすすめる友人の数
    PI指数を一以上にできるかが成功の分かれ目なのだ。

成功するために必要な条件として、

  1. ユーザが熱狂するような商品、サービスを提供すること
  2. 友人にすすめやすいこと

最初の項目は当然のことだが、2番目の「友人にすすめやすいこと」も検討する必要がある。商品のホームページのURLがメールで送れないサイト(フレームを使っていたり、JavaScript等でページ遷移を管理しているサイト)がダメなのは言うまでもない。できれば、友人にすすめやすい仕掛けを用意したい。

  • 「This is it!(これだ!)」と思わせる会社

一流のプロに対して、「そんな物は捨てて、僕らの会社に入ってくれ!」といって「イエス」と言わせる会社にならなければならない。会社にビジネスモデルやポテンシャルだけでなく、カルチャーやにおいも重要だ。

カルチャー作りの予算はVC(ベンチャーキャピタル)も大いに使うことをすすめている。オフィスの中がおもしろい雰囲気でないと彼らは逆に心配するのだ。

それぐらいカルチャーが重要視されているのだ。

2006年04月12日

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方

本書は、最新脳科学をわかりやすく説明し、脳の仕組みにあった学習方法を教えてくれる。

記憶のメカニズムと能率的な記憶方法に興味がある人にお勧め。

個人的には特に興味のあった「第6章 科学的に記憶力を鍛えよう」は、非常によかった。

個人的メモ。

  • 記憶力と年齢は関係ない

    • 覚えられないのは努力不足のため。
    • 「歳のせいで覚えが悪い」は間違い。マイナス方向の自己暗示が記憶を妨げてしまう。
  • 脳も成長する

    • 年齢に見合った記憶の仕方がある
    • 大人は論理だった記憶能力が発達している丸暗記は非効率。理論的に記憶しよう。
  • 刺激の多い生活が記憶力を鍛える

    • 初めての場所に行く
    • 初めての人に会う
    • 感動する
    • 使わないと、脳の機能は低下する
  • ものごとを関連づけると覚えやすくなる

    • 意味のない数字や文字の羅列は覚えにくい
    • ものごとの奥にひそむ真理を発見することが、学習にとって重要
  • 6時間以上の睡眠

    • 夢は記憶を強化するために必須な課程
    • 覚えたその日に6時間以上眠ることが欠かせない
    • 1日6時間勉強するよりも、睡眠を挟んで2時間ずつ3日勉強する方が能率的

2006年04月13日

だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法

だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法

記憶力を強くする の内容から、能率的な勉強方法についてまとめたような本。

薄い本なのですぐに読めるし、内容もすごくわかりやすい。 とりあえずノウハウを知りたい人にお勧め。 記憶についてのメカニズムに興味を持ったら、記憶力を強くする を読んでみるといい。

個人的メモ

  • 脳は生命に必要な情報だけを選んで記憶する
  • 復習は1ヶ月以内
  • 同じ参考書で復習する
  • まずは大局を理解する
  • ある分野の理解の仕方を覚えると、ほかの分野に対する理解の仕方までが上達する
    • 「私は新しい計算機言語を学ぶ以上に、新しい計算言語の学び方を学んでいた」(G.M.ワインバーグ)と同じことか。
  • 覚えたいことを人に説明してみる

2006年04月20日

マインドマップ読書術

マインドマップ読書術 を読みました。

本書の内容を一言で言うと、「読んだ本の記憶を定着させるのにマインドマップを使いましょう。」

マインドマップをあまり知らない人には、実用例が豊富なので、どのようにして読んだ本からマインドマップを書けばいいのか、よくわかると思います。

ただし、本書のマインドマップは文字ばかりなのが気になりました。
書籍向けにマインドマップをカスタマイズしているのかもしれません。

本書のマインドマップは、マインドマップというよりも図のように思います。

私の考えるマインドマップとは、絵(アイコン)です。
抽象的であるため情報量が多く、短時間で省スペースに情報を書くことができます。
文字に比べ正確さでは劣りますが、書いた本人が理解できればいいので、問題ありません。

マインドマップを知らない人は、マインドマップの本 を読んでからの方がいいと思います。

本書には、読書ならではのマインドマップのノウハウがあるわけではありません。
マインドマップをすでに活用している人には、あまり読むべきところがないと思います。

2006年04月22日

何でも見つかる 検索の極意

何でも見つかる 検索の極意 を読みました。

検索エンジンを使った検索テクニックが中心ですが、GoogleツールバーやGoogledデスクトップなどの紹介もあります。

無意識に使っていると、他人に教えることが難しい。
自分が使っている技術を再認識できました。
知らないテクニックもいくつかあり、これから使えそうです。

「こういったページがあるだろう」と架空のページを想像し、そのページで使われている独特なワードを検索ワードとして採用する。

確かにそういった考え方をしていますね。

ユニークなワードで情報を限定。電話番号や住所、商品型番を検索ワードにする。

これも使ってました。でも他人に説明はできませんでした。

口コミ情報を探したいときは「嘘 OR ウソ」で検索。

これは初めて知った。Ask.jpの最速ブログ検索 もいいらしい。

2006年04月23日

図で考える人の図解表現の技術[

図で考える人の図解表現の技術」 を読みました。

本書は、「図で考える人は仕事ができる」の続編であり、トレーニング編です。 「図で考える人は仕事ができる」は読んでいません。

文は一次元に対して、図は二次元。
図で表現すると新しい視点が加えられるため、思考の整理や情報の伝達に有効です。

第一部は基本的なテクニックを学ぶ。
「マルの使い方」(「包含」「隣接」「交差」「分離」「並列」「郡立」)と「矢印の使い方」(「連続性」「場面の展開」「思考の流れ」「対立」「双方向性」「拡散」「収縮」)を身につけるだけで、かなり上手に図が書けるようになりそう。

第二部では事例から図を改善していくプロセスを解説する。
よりより図を作るための考え方を学べる。対象についての考えを深めていく過程も興味深い。

事例が豊富で、実際に図を書くときに参考になりそうだ。

2006年05月19日

箱 Getting Out Of The Box

Amazon で評判がよかったので気になっていたが、評判通りの名著だった。

すばらしい本であるだけに、手に入りにくいのが残念だ。

タイトルから内容が想像するのは難しいが、本書はコミュニケーションに関する本。 うわべのコミュニケーションスキルについてではなく、もっと根本的な部分について。

同じ行動をとったとしても、箱の中に入っている状態と箱の外にいる状態では、相手に与える影響が全然違う。 いくら最新のコミュニケーションスキルを使い効果的な行動をとったとしても、箱の中に入っていると相手にいい影響を与えることはできない。

大切なことは、箱の中にいることに気づき、箱の外に出ること。

2006年06月05日

やっぱり使える「ポスト・イット」!!速読・速解の技術

やっぱり使える「ポスト・イット」!!速読・速解の技術

速読の技術に関しては、加速学習(フォトリーディング)と共通点が多い。

  • 拾い読みを何回も繰り返す
  • キーワードに注目する
  • 問題意識を明確にする

Beltaの大人の効果的な学習方法と共通点も多い。

  • 極端な早起き
  • 「厠上」「枕上」「馬上」を活かす
  • 目標時間を設定する

齋藤 孝氏(三色ボールペン情報活用術)と使い方は違うが、3色ボールペンも活用している。

ポスト・イットならでは、といった点では、

  • ポスト・イットに「書く」という行為が記憶の定着を助ける
  • 手帳に貼って情報データバンク
  • 入れ替えて鮮度を保つ

全体的にオーソドックスで実用的な技術だと思う。

2006年06月08日

Debian GNU/Linux徹底入門第3版 Sarge対応

Debian GNU/Linux徹底入門第3版 Sarge対応

Debianのインストールは、どうしてこんなに難しいのか。 最小インストールした後にX Window Systemや日本語環境の設定など。

本書はインストールから使い始めるまでの解説が充実して助かった。 特に面倒な作業を助けてくれる独自のパッケージはありがたい。

  • 印刷に使われるGhostscriptの日本語環境セット tettei-ghostscript
  • オフィススイートOpenOffice.orgの日本語環境セット tettei-openoffice.org
  • 本書で推奨する日本語環境 tettei-japanese
  • 本書で推奨する日本語デスクトップ基本環境 tettei-desktop
  • GNOMEの日本語環境セット tettei-gnome
  • KDEの日本語環境セット tettei-kde
  • メールサーバーセット tettei-mail-server
  • XFree86自動設定 tettei-xconfig

さらに、日本語TrueTypeフォントまでついてくる。

本書があれば、Debianを動かすところまではいけるはず。

2006年06月14日

決断力

決断力

羽生 善治氏が書いた本。その内容は、将棋だけではなく他の分野でも非常に参考になる。文章も読みやすいし、お薦めの本である。

以下、個人的なメモ。

「仲間に信用されることが大切だ」
といったのは大山康晴先生だが、これこそ必勝の秘訣。

これは勝負事に限らない。ビジネスをスムーズに進めていく上でも重要な要素だ。

数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した小平邦彦先生は、 数学は高度に感覚的な学問であるといい、それを「数覚」と名付けている。

将棋も、補助線のようなひらめきを得ることができるかどうかが強さの決め手になるという。

プログラミングにおいても、同様なことはいえると思うのだが、どうだろうか。
天才プログラマの方に聞いてみたいところだ。

日本のビジネス界や研究者の世界では、管理職に一旦つくと、それまでの研究や仕事から足を洗ってしまう人が多いと聞いている。 アメリカでは、たとえば、カーネギー・メロン大学でロボット工学研究所の所長をつとめた金出武雄先生は、所長を辞めると、すぐに教授として研究現場に戻り、最先端のロボットの研究に励んでいる。 そういうシステムがない日本は、貴重な知的人材をムダにし、同時に、その人の生きがい、やりがいをも奪うことになっているのではないだろうか。

老人に生きがいについての言及であるが、興味深い。

IT業界では、何年もプログラミングをしていないSEも少なくないらしい。
そんなSEが設計するシステムは時代錯誤であり開発効率が悪いようだ。

何事であれ、最終的には自力で考える覚悟がないと、情報の山に埋もれるだけである。 パソコンで勉強したからといって、将棋が強くなるとはいえないのだ。

インターネットのおかげで、欲しいコードを検索して簡単に見つけることができる。
ホームページのソースコードをコピー&ペーストして、できたと思っている若いプログラマの姿を見ると疑問を感じる。
ソースコードの質も不安だが、そのプログラマが技術力を向上していけるのかも心配になる。
もしかすると、納期が短くて十分に考える時間がないのかもしれない。
そうだとすると、組織の考え方に問題があるのだろう。

私が、将棋を上達するためにしてきた勉強法は、初心者のころも今も変わらない。 基本のプロセスは、次の四つだ。
・アイディアを思い浮かべる。
・それがうまくいくか細かく調べる。
・実戦で実行する。
・検証、反省する

重要なことだと思うのでメモ。

若いころ、独りで考え、学んだ知識は、今の将棋では古くなり、何の役にも立たない。 だが、自分の力で吸収した考える力とか未知の局面に出会ったときの対処の方法とか、 さまざまなことを学べたと思っている。

最新情報の入手が容易になっていくと、情報や知識で差別化することが難しくなる。これからは、長い時間をかけて考えてきたことや身につけてきたことに、より価値が出てくるのではないかと思う。

以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。 しかし今は、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。

今は転職ブームのようで、入社後、数年で退職することが珍しくないようだ。だが、同じ会社でずっと情熱をもって仕事をすることも、もっと評価されるようになると思う。

その道場では普通八級からスタートするのだが、そのときに席主がつけてくれたのが、十五級である。 私が幼かったこともあるだろうが、実力よりも低いところからスタートして、 昇級していく楽しみを与えた方がいいという席主の配慮であった。

少しずつでも進歩しているという実感がないと、継続するのは難しい。適切な目標を設定すること。大切なことだ。

2006年06月23日

超・営業法

超・営業法

資格・肩書きだけでは食っていけない。 士業もマーケティングが必要です。 本書は、行政書士だけでなく、その他の士業や起業を考えている人にも役に立つでしょう。

行政書士のビジネスは楽ではないようだ。 年収300万円以下が6割を占めるというアンケート結果がそれを示している。 資格を持っていれば仕事ができるというものではない。 結局は、起業することと同じだ。

本書ではマーケティング戦略の重要性を解説している。

  • 市場戦略

    自分の強みを生かせる、自分のルールで戦える市場で戦え

  • 商品戦略

    SWOT分析と「選択と集中」

  • 価格戦略

    安いと信頼を損なうこともある。

リスクを負う必要性を説く。
広告に投資する勇気を持つこと。
必要なら借金をすること。
失敗を怒れないこと。

組織化重要。
個人で稼ぐにはすぐに限界がくる。 組織化・自動化して、ビジネスを大きくしよう。

2006年07月02日

千円札は拾うな。

千円札は拾うな。

成長には、変化すること、投資すること、捨てることが重要だ。

これらにはリスクが伴う。

しかし、生きていく以上はリスクから逃れることはできない。

リスクに立ち向かい、決断を下そう。

2006年07月09日

レイコ@チョート校

レイコ@チョート校 アメリカ東部名門プレップスクールの16歳

アメリカ合衆国で三指に入る名門の寄宿制私立高校チョート校に留学した著者の留学体験。

その教育方法が興味深い。

  • 数学

    宿題は、新しい章を読んで、問題を二十問ほど解くこと。

    ところが次の日、数学の授業が始まり、驚いた。先生のミスター・デマーコが教室には行ってくるなり、十二人の生徒が、前の晩の宿題でわからなかった箇所を口々に質問するのだ。

    授業は、わからないところを解決する場だということに、私はこの時、初めて気づく。

授業そのものの考え方が、日本とは違うようだ。

日本の授業のように先生の講演を聴くだけでは、その場だけわかったつもりになってしまう。

疑問、問題意識を持って授業に向かう。 学習効率が大きく変わってくるだろう。

  • 世界史

    必修科目である世界史の宿題は、毎晩、課題の単元を読み、ルーズリーフに自分で要点をまとめ、驚いたことなど「リアクション」を書くこと。授業は、決まった順序では進まない。テキストを読んで疑問に思ったこと、おもしろいと感じたことを誰かが発表し、そこから始まる。

世界史も数学と同じように、興味や疑問、問題意識を持って授業に向かうことを、大切にしているようだ。

  • 英語

    「中には、『なぜシェイクスピアなのか』と疑問に思っている人もいると思う。彼の作品を学ぶわけは、彼の想像力=ストーリーの面と、表現力=書き方の面の両方にあるのだ。読み物としてただ興味深いだけでなく、自分で文章を書くときにもきっと参考になる。」

なぜ学ぶのか。 目的をはっきりさせている。

このほかにも、美術の授業やパリ講和会議のシミュレーション、大統領選なども興味深い。

自分で授業を作ってしまうことも可能だ。寮のプリフェクトの独りジェニーは二学期、メンバー数人と先生を集めて「韓国史」のクラスを開講した。

授業の進め方だけが凄いのではない。学校のあり方そのものが、どうやら違うようだ。

2006年08月18日

Google関連本

松江市立図書館にリクエストしていたGoogle関連の本が届いたので、まとめて読んだ。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる は、ウェブの現在そしてこれからの方向性を高い視点から捉えている。

一方、グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する では、羽田空港の駐車場やメッキ工場がGoogleを使ってビジネスを成功に導く話で、身近なテーマからGoogleのもたらした大きな変化をわかりやすく伝えたいる。

Googleをそれぞれ異なる視点から見ていておもしろい。

また、グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する はGoogleの負の側面も描いている。

[ザ・サーチ グーグルが世界を変えた][3] は上の2冊とは違い、検索エンジンに関わる会社の栄枯盛衰を描いたノンフィクション。
懐かしい検索エンジンの会社名を楽しみつつ、検索エンジンが社会にもたらす影響の大きさをあらためて確認した。

[3]: http://amazon.co.jp/o/ASIN/4822244873/gesource-22/ref=nosim "ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

資格関連の本

松江市立図書館にリクエストしていた資格関連の本。

FPの極意がわかる本―活かし方・働き方・稼ぎ方

ファイナンシャルプランナーの仕事内容がわかる本。 講師業や執筆業が収入の中心のようだ。 業界が未成熟ということは、そこにビジネスチャンスがあるということ。

税理士スペシャリストの仕事術

税理士の仕事内容がわかる本。

独立開業して特定分野のプロフェッショナルとしての道を選んだ税理士や、会社内でプロフェッショナルとしての道を選んだ税理士など、さまざまなタイプの税理士の仕事を紹介している。

後半に資格試験の学習法があることからも、本書のターゲットがこれから税理士になる人であることがわかる。

中小企業診断士スペシャリストの仕事術

こちらの本もさまざまなタイプの中小企業診断士の仕事内容を紹介する。

これらの本を通してわかることは、

  1. 資格を持っているだけでは食っていけない。
  2. 仕事の内容は非常に幅広い。

資格を生かすも殺すも自分次第。

2006年08月20日

はじめよう Ruby on Rails

はじめよう Ruby on Rails。

松江市立図書館にリクエストしていたのが届きました。
流し読みをした印象です。

前半はペアプログラミングとテストファーストで開発していくストーリーです。
後半では、機能別に解説があります。

テストファーストで開発するストーリーはいいですね。
テスト方法についての解説があるのは、実際に開発するときに参考になります。
Railsに限らず、フレームワークの解説書でテスト方法について述べている本は少ないと思います。
テスト方法がフレームワークに組み込まれているRailsの魅力を上手に引き出しています。

本書のターゲットとしているユーザー層は、Railsを使ったことがない人でしょう。
タイトルもぴったりですね。

これからRailsに挑戦したいと思っている人にはぴったりの一冊です。

ライド・オン・Rails Ruby on Railsを徹底攻略

ライド・オン・Rails Ruby on Railsを徹底攻略

松江市立図書館にリクエストしていたのが届きました。
流し読みをした印象です。

難易度は はじめよう Ruby on Rails よりも高めのようです。
最初の一冊目としては難しそう。
はじめよう Ruby on Rails を読んだ後にこちらを読むといいでしょう。

最初のチュートリアルはかなり急ぎ足の印象。
中盤の実践レシピ編、後半の応用レシピ編は、実際の開発でお世話になりそう。
特に日本語の扱い方やエンタープライズRailsなどは、貴重な情報源。

2006年08月25日

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには


経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには

経済学的思考の本質は、人々のインセンティブという観点からものごとを見直すという点にある。

本書では、さまざまなデータを経済学的思考で考察する。 そういう点では、ヤバい経済学 と似ている。

取り上げている話も興味深いものが多い。 たとえば、身長プレミアム。

学歴、勤続年数、企業規模などが同じであったとしても、一センチ身長が高くなると時間あたり賃金は約0.8パーセント高くなるという身長プレミアムが観測された。

10センチの身長格差は8パーセントの賃金格差を生むという。

他にも、美人の経済学。

学歴や年齢などの要因をコントロールしても、「美男美女」は「不器量」な人よりも高い賃金を得ている

プロ野球監督ランキング。

勝率引き上げ能力順位の上位には、鶴岡、西本、川上、広岡、森、仰木、星野といった一般に名監督として評価が高い監督が含まれている。 一方、2003年で解任された原監督は2シーズンだけの結果とはいえ、かなりの名監督であったと評価できる。

プロ野球には詳しくないのだが、こういうランキングはおもしろい。

2006年09月13日

ライフサイクル イノベーション

ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション

本書は、イノベーションを14種類に分類して、市場の成長段階ごとに解説する。

IT業界になじみのある企業の多くの実例が親しみやすく、わかりやすい。

適切なイノベーションを選択して、無駄な投資を回避し、成長に必要な研究・開発の方向性が見つけられる。

2006年09月18日

Google Analyticsではじめる 儲けるためのアクセス解析術

Google Analyticsではじめる 儲けるためのアクセス解析術

Google Analytics の入門書。

Google Analytics は非常に情報が豊富だ。

最初に本書を読んでおくと、効率よくGoogle Analyticsを使えるだろう。

数学でみがく論理力

数学でみがく論理力

中学までの数学の知識で楽しめる、論理の誤りを見つけるワークブック。

問題を解くことも楽しいし、問題文には絵や図が多用されていてわかりやすいし、コラムもおもしろい。

2006年10月02日

IT失敗学の研究―30のプロジェクト破綻例に学ぶ

IT失敗学の研究―30のプロジェクト破綻例に学ぶ

本書は、31件の情報化の失敗プロジェクトを分析し、失敗の原因を究明し、防止策を考える。

ユーザー企業の経営者・担当者、ベンダーのSEは、非常に参考になるだろう。

ユーザー企業の経営者

  • 必要な知識

    • 経営知識

    • 情報化の知識

  • 対策

    • 情報システムの部員育成

      行政機関のような頻繁な人事異動では育たない。

    • 第三者の意見

      中途半端な知識で判断しない。
      第三者の意見に耳を傾ける。

    • 情報戦略の立案

      ベンダー・コンサルタントの話を鵜呑みにしない。
      情報戦略を立案するのは経営者の仕事だ。

    • 構築後の多面的な評価

      会社の利益に反する、担当者やベンダーの本音を防止する。

ユーザー企業担当者

  • 必要な知識

    • システムアドミニストレーター

      ユーザー企業の担当者に必要な知識はシステムアドミニストレーターとして体系化されている。

ベンダー側SE

  • 必要な能力

    • 会計の知識

      SEの仕事はシステムの構築を通して会社の利益を向上することである。
      会社の利益とは何かを理解することは必要だ。

    • 折衝力

      利害関係者の調整を円滑に行えるように。

    • 論理性

      感情や責任逃れに振り回されないように。

2006年10月08日

最近読んだ本いろいろ

最近読んだ本いろいろ

行動経済学 経済は「感情」で動いている

行動経済学は、経済学と心理学を融合した新しくまだ幼い学問だ。

人は標準的経済学が想定するように合理性のみで判断しているのではない。

判断には感情、直感、記憶など、心の働きが大きな影響を及ぼしている。

経済学の初心者でも読みやすくおもしろい本だった。

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方

当たり前・常識と思いこんでいることを見直すきっかけになる。

「できる人」の話し方&コミュニケーション術 なぜか、「他人に評価される人」の技術と習慣

営業などで使えそう。

「できる人」の聞き方&質問テクニックなぜか、「人に好かれる人」の技術と習慣

中身はNLPでした。

100億稼ぐ超メール術 1日5000通メールを処理する私のデジタル仕事術

日報メールの仕組みはおもしろい。
上手にツールを使って、仕事の効率を上げたい。

2006年10月09日

最近読んだ本いろいろ

最近読んだ本いろいろ。

黄金比はすべてを美しくするか?―最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語

自然の中にある黄金比。

古代の建築物の中に黄金比を探しだし、そして音楽や文学などの芸術作品にも黄金比を見いだす人々。

古来より人を魅了してきた黄金比は、やっぱりおもしろい。

数学が教えてくれた お金の法則

簡単な計算でお金のことがよくわかり、より合理的な判断ができる。

勝つ工場―モノづくりの新日本モデル

工場の知恵を絞った戦略は、他の業界でも参考になる。

算数・数学が得意になる本

算数・数学でつまづきやすいポイントを丁寧に解説する。

紙面の関係か説明不足に感じるところもあり、本当に数学が苦手な人には難しいところがあるかもしれない。

数学が苦手でない人にとって、自分の理解を強化するのに役立つだろう。

とくに算数・数学を教える立場の人にとって、非常に参考になる一冊だと思う。

2006年10月22日

最近読んだ本いろいろ

最近読んだ本いろいろ。

実学入門 経営がみえる会計

初心者向けにわかりやすく書かれた会計の入門書。

新聞記事が多く取り上げられており、会計の知識と現実に起こっている事件との関係がよく分かる。

本格的に会計を学習するには物足りないかもしれないが、入門書としてはよい本だと思う。

王様の速読術

著者の速読術の歴史として、第一世代はひたすらに(目の動かし方を早く)、第二世代は合理的に(欧米式速読術)、第三世代は脳神経学的に(フォトリーディング)、そして本書が示す第四世代は目的別の最適な組み合わせに、となっている。

速読術としてはフォトリーディングとの違いが分からなかった。
読書時間を30分に限定することによる締め切り効果ぐらいだろうか。

「儲かる仕組み」をつくりなさい

ITの使い方が上手い。システムを導入すれば終わりでなく、導入後の運用に知恵を使っている。

スケジュールの共有では「記入するスケジュールは嘘でも良い」とした。本当のスケジュールと嘘のスケジュールの2つを管理するのは大変なので、本当のスケジュールを後悔するようになった。という話。

IT化のポイント

  • ITは自社に欠けているものを補ってはくれない
  • 私物以外はすべて共有財産
  • 皆が元気になるように使う
  • セキュリティ対策はコストよりもスピードを重視
  • 思い切った割り切り
  • 例外事項を考慮しない
  • はじめは単機能から

また、勉強量もすごい。
「社員には本来の業務とは別に、毎日二時間くらい勉強させたことになります。」
やっぱり勉強は大事だ。

デザイン関連の入門書

デザイン関連の入門書

ノンデザイナーズ・デザインブック

デザイナーでない人のためのデザインの本。
読みやすいし、わかりやすい。
デザインの入門書として最適だ。

4つの基本原則「近接」「整列」「反復」「コントラスト」。
これらを学ぶだけで、かなり違いが出ると思う。

7日間でマスターするレイアウト基礎講座

ノンデザイナーズ・デザインブックよりも、若干レベルが高い。
ノンデザイナーズ・デザインブックの次に読むと理解しやすいと思う。
本書も例が多く、初心者にもわかりやすい。

デザイン・ルールズ

上の2冊よりも内容が多くレベルが高い。 初心者がいきなりこの本を読むのは、難しいのではないか。 上の2冊を読んだ後、レベルアップを目指したい人に。

2006年11月17日

最近読んだ本

世界初 地図記憶法―あなたも記憶の天才!

なるほど、その手があったか。

この記憶法はすごく単純。だから簡単にマスターできるし、すぐに役立つ。

学生の時に知っていれば、地理の試験が楽になったのに。


賢いはずのあなたが、なぜお金で失敗するのか

行動経済学の視点からお金の問題を取り扱う。

気づかない間に無駄遣いしていたり、リスクの高い投資に手を出したり…。
その理由を、経済学らしく論理的に解き明かす。

逆の見方をすれば、人にお金を使わせることができるかも。

行動経済学の入門書なら、「行動経済学 経済は「感情」で動いている」がおすすめ。


社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!

同名のメールマガジンの書籍版。

経営の初心者に、会社を伸ばすために必要な5つの投資を順番に解説する。

平易な文章ですぐに読める。

日本のシステム投資には、実は、とても危険な落とし穴があるのです。 (中略) 高いものに投資をしてもまるっきりムダになる確率が高いという、投資の法則から言えば「矛盾」をはらんでいます。

システム投資に関する文章ですが、これはその通り。
この業界の大きな問題です。

2007年07月03日

キャリアデザイン入門

キャリアデザイン入門〈1〉基礎力編の対象は30代まで、キャリアデザイン入門〈2〉専門力編の対象は40代以降。

著者は30代までは筏下りの時期、40代以降は山登りの時期と言う。

筏下りの時期は、「自分が一体何処に向かっているのかもよくわからない。とにかく目の前の急流と向かい合い、自分の持つすべての力を振りしぼってその急流や岩場を乗り越えていくのである。」
この時期に身につけるべきスキルは基礎力、すなわちすべての仕事に共通する力である。

その後の山登りの時期には、「一つの山を選び、その頂をまっすぐに目指すようなイメージである。」
必要なスキルは当然、専門力である。

本書では年齢段階別のキャリアデザインの方法の解説がある。

  • 高校までのキャリア
  • 就職活動をにらんだ時期
  • 入社直後
  • 30代をにらむ時期
  • 30代半ばの筏下り卒業期
  • 40代を迎えるまで
  • 40代
  • 定年退職をにらむ時期
  • 定年退職後

キャリアデザインというと若者向けのイメージがあるが、30代以降のキャリアデザインへの言及が興味深い。
昔と違い、今の時代はキャリアデザインを会社に任せることができなくなった。
30代以降のキャリアデザインは、今後注目されるかもしれない。

間違ったスペシャリスト志向がキャリアデザインを阻害する、
プロフェッショナルとは何か、
など、考えさせられる話が多かった。

キャリアカウンセラーなどの専門家向けではない。万人向けの本である。
人生の節目には、本書を読んで、キャリアデザインを考えたい。

2007年07月19日

格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~

格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~

子供の生活の質の差が成績の差につながっているようだ。
要するに、良い生活習慣が良い成績を作る。
そして、良い生活を作るためには経済力が必要。

総中流階級を信じたい日本ではタブーと思える格差社会の調査は、価値のあるものだと思う。
多少、データの解釈が強引に思えるところもあったけど。

気になった点をいくつか。

成績のよい子のイメージが昔とは違う。
昔は優等生といえば、おとなしくて消極的、運動は苦手な個をイメージしたと思う。
今の成績のよい子は、性格も積極的、運動も得意、友達も多いらしい。
これは、小さな成功体験が良い方向に連鎖した結果ではないかな。

母親は父親に対して満足度が高いと、子供に対する満足度も高い。
父親の評価基準は、1位所得、2位子育ての協力。
子育ての協力は、土日に休みを取ることができることが大きく、それにはそれなりの所得が必要。
要するに、父親は経済力で評価されているように思える。

2007年07月20日

パイロットが空から学んだ危機管理術

パイロットが空から学んだ危機管理術

多くの人の命を預かるパイロットの危機管理の方法。

具体的な実例を取り上げて、要点を一つずつ解説しており、わかりやすく非常に参考になる。

定期的に読み直して、自らを省みたい。

2007年08月01日

レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング 100倍の利益を稼ぎ出すビジネス書「多読」のすすめ

本書は、ビジネスに活かす効果的な読書術を紹介する。

本の投資対効果は100倍。1500円の本なら15万円の利益を生む。

読み方については、フォトリーディングを重なるところが多い。

読書後のフォローで、知識をしっかりと身につけるための方法が参考になる。
目的は本を読むことではなく、ビジネスに活かすことだから、理にかなっている。

追記
本書で紹介されている書籍。

読んでおくべきビジネス書20

原理原則の本10

2006年に読んだ読むべきビジネス書10

2007年08月03日

レバレッジメモはマインドマップで代用できるか

レバレッジ・リーディングで紹介されているレバレッジメモ。
これは、フォトリーディングで描いたマインドマップで代用できそう。
文字をだらだらと書くよりも、マインドマップの方が認識が早いし。
ただし、かさばるという欠点がある。

2007年08月09日

寝るだけで夢がかなう仕事術

寝るだけで夢がかなう仕事術

一言で言うと、「寝る5分前に脳に命令を出しましょう」。

紹介されている参考文献の半分をすでに読んでいたため、目新しさはなかった。
知識の再確認にはなる。

レバレッジ時間術にもあったと思うが、やはり15分の午睡は良さそう。

2007年08月10日

続・年収300万円時代を生き抜く経済学 実践編!―給料激減でも豊かに生きるための「新・生活防衛術」

続・年収300万円時代を生き抜く経済学 実践編!―給料激減でも豊かに生きるための「新・生活防衛術」

年収300万円でやりくりして心豊かに暮らす節約術。

それよりも年収を上げるように行動した方がいいと思う。

なぜ株式投資はもうからないのか

なぜ株式投資はもうからないのか

本書は、株式投資が一般投資家にとっていかに不利かをわかりやすく解説する。

特に目新しい話も奇抜な意見もない。入門書としていいかも。

これから株を始める人は一度読んでおくと良いかもしれない。

2007年08月11日

親より稼ぐネオニート―「脱・雇用」時代の若者たち

より稼ぐネオニート―「脱・雇用」時代の若者たち

ネオニートとは、仕事に就く意志はないが、何らかの収入源があり不自由なく暮らせる者たちを意味する言葉である。

ネオニート - Wikipedia

ニートとして行き詰まっている人たちに、本書は新しい選択肢と可能性を示す。

統計を見ると、若年労働人口の2割弱の人間には雇用の受け皿がない。
さらに、4割以上の企業が人手不足であると考えているにもかかわらず、フリーターの正規従業員としての採用には9割近くの企業が消極的だという。
そうなると、一度ニート・フリーターになると、その状況から抜け出すことはきわめて困難だ。
ニート・フリーターの当事者やその家族の閉塞感、そしてそれがトラブルを生み出すことだろう。

インターネットの普及により、アフィリエイト・オークション・情報販売など、わずかな初期費用でビジネスを始めることができるようになった。
就職という選択肢が困難であるなら、その他の選択肢を考えてみてはどうか。
本書では、自営業の選択肢を紹介している。

頭の固くなった大人たちには、就職以外の選択肢が見えない。
時代が変わり、選択肢が広がっていることに気づきたい。

2007年08月13日

時間の分子生物学

時間の分子生物学

最近読んだいくつかの本で、時間の分子生物学が紹介されていたので、読んでみました。
読んでみて納得。すばらしい一冊でした。

本書は、生物時計と睡眠について、遺伝子レベルで解説しています。
というと難しそうに聞こえますが、素人にもわかりやすく読みやすく書かれています。

湾岸戦争で米軍が犯した失敗の一つに、味方の輸送機にミサイルを発射したことがあります。
このミスが起こったのは、眠くなりミスをしやすい時間帯だったことが、学会で発表されています。
睡眠について知ることは、ミスを減らして仕事の効率を上げることに役立ちます。

眠気は夜が強く日中は弱いのですが、午後二時頃に大きなピークがあるそうです。
また、夕方から早い夜にかけて(18時から20時くらい?)非常に眠気の弱い時間帯(フォービッドン・ゾーン)があります。
午後二時頃には、集中力が必要な重要な仕事は避けた方が良さそうです。

最近よく聞く「午睡」の効果ですが、元ネタは産業医学総合研究所の高橋正也氏らの研究みたいですね。
午睡を上手にとることで、午後の仕事の効率を上げて気持ちよく働くことができるようです。
時間は15分から30分、それ以上眠ると覚醒に時間がかかり作業効率が落ちます。
午睡する前にコーヒーを飲んでおくと、ちょうど効いてきた頃に目が覚めるという、ちょっとしたテクニックが紹介されていました。

「早寝早起き」よりも「早起き早寝」の方がいいそうです。
夜早く寝ても、生物時計が送れたままでは早く起きることはできません。
生物時計を進めるには、朝の早い時間に光を浴びる必要があります。
朝早く起きる習慣を作るには、まず朝早く起きて朝日を浴びることから始めると良いようです。

人間の生物時計の周期は25時間という話を聞いたことがありましたが、これはアドリブ条件下の限定的な話だそうです。
完全に外部の影響を除いた環境下では、年齢によらず、ほぼ24時間ということです。
ところで、この実験の被験者になるボランティア、謝礼は6週間の場合で100万円を越えるそうです。

目覚まし時計が鳴る直前に目が覚める仕組みも解説されていました。
通常、起床時間の1時間前から増え始める血液中のコルチゾールが、起きたい時間の直前になると増え始めます。 脳が生物時計を使って、今何時なのかを推測して、起きるための準備を始めているのです。
普通、意志では制御できない自律神経機能を、意志の力で、それも睡眠中に制御しているという、不思議な現象です。

まだまだ興味深い話はたくさんありましたが、長くなりましたので、この辺で終わります。

とにかくおもしろい、お薦めの本です。

2007年08月15日

仕事のための12の基礎力~「キャリア」と「能力」の育て方~

仕事のための12の基礎力~「キャリア」と「能力」の育て方~

先日読んだ『キャリアデザイン入門』と筏下りや山登りの話が同じだと思ったら、 同じ著者さんでした。

キャリアデザイン入門』が時期別に解説していたのに対して、 『仕事のための12の基礎力』は能力別に解説しています。

本書では、キャリアを成功に導く12の基礎力について解説しています。
身につけるべき年齢も示してあるので、今自分が何を学ぶべきか、 そしてこれから何を学んでいけばいいのかを考えるときの指針になると思います。

  1. 反応(リアクション)力…10代~20代
  2. 愛嬌力…10代~20代
  3. 楽天力…10代~50代
  4. 目標発見力…10代~40代
  5. 継続学習力…20代~40代
  6. 文脈理解力…20代~40代
  7. 専門構築力…30代~40代
  8. 人脈開拓力…30代~50代
  9. 委任力…30代~40代
  10. 相談(カウンセリング)力…40代~60代
  11. 教授力…40代~60代
  12. 仲介調整(コーディネート)力…40代~60代

2007年09月01日

成功はゴミ箱の中に―レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男-マクドナルド創業者

成功はゴミ箱の中に―レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男-マクドナルド創業者

マクドナルドの創業者、レイ・クロック氏の自伝。
サブタイトルの「世界一、億万長者を生んだ男」とは、何とも魅力的な言葉です。

話はテンポ良く進みおもしろい。日本語訳も良い。
一度読み出すと止まりません。
厚い本ですが、数日で読み終えました。

巻末のユニクロの柳井氏とソフトバンクの孫氏が対談もおもしろい。

未熟でいるうちは成長できる。成熟した途端、腐敗が始まる

個人も組織も同じ。
優秀な人たちと会い、自分が未熟であることを実感することが大切だと思います。

手入れの行き届いたスーツと靴、清潔感を与える髪型と爪の手入れなど、相手に好印象を与えるためのが意見の大切さを強調した。
「見た目も、行動も、スマートに」とよく彼らに言った。

外見の大切さについて。
当たり前なんだけれど、やはり重要。

多くの若者は、安定した職を得る準備や、料理や家事ができる用意もできずに大学を卒業してしまい、落ち込んでいる。
キャリアへの訓練を受け、彼らをサポートすることを学び、仕事をどうやって楽しむかを先に教えた方がよいのだ。

いまのアメリカの若者には、仕事を楽しむ方法を学ぶ機会が与えられていない。 この国の社会的、政治的哲学は人生から一つずつ、リスクを取り除くことを目標としているようだ。

ダートマスでのスピーチで若い学生たちに伝えたように、誰かに幸福を与えることは不可能だ。 独立宣言にもあるように、唯一できることは、その人に幸福を追う自由を与えることだ。 幸福とは約束できるものではない。 それはどれだけ頑張れたか、その努力によって得られる、その人次第のものなのだ。

この本が書かれたのが30年前とは思えない。

狂った裁判官

狂った裁判官

裁判官の実態や、司法システムの問題点を描いた本。
おもしろく書かれていて読みやすい。

転勤すると行ってはいけない飲み屋リストを渡されるなど、裁判官の実態を明かす話はおもしろい。
裁判官は決して聖人君子でないこともわかる。

裁判官が司法システムを批判した本書は、それだけで価値があると思う。
説得力に欠ける気がするが、新書なので文章量に制限があったのだろう。

2007年09月06日

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか

以前から話題になっていましたが、ようやく読みました。

結論から言うと、素晴らしい本でした。
アマゾンのカスタマーレビューを見ても、20件以上あるレビューのほとんどが五つ星ですが、納得です。

フリーエージェントについて、長所だけでなく短所も公平に論じています。

アメリカの人口の約四分の一、3300万人がフリーエージェントなのだそうです。
日本ではまだ、「企業に雇用してもらうこと」にこだわっている人が多いように思います。
これから少しずつ意識が変わっていくのではないでしょうか。
もちろん、大企業など反対勢力の抵抗もあるでしょうけど。

2007年09月23日

「新中流」の誕生―ポスト階層分化社会を探る

「新中流」の誕生―ポスト階層分化社会を探る

格差社会に関する本は最近多く出版されていますが、教育の視点から考察しているところがおもしろいと思います。

中流階級の多さが国力の強さにつながります。
格差が広がることによる治安やビジネス環境の悪化は、きっと起こるように思います。

一流国の条件の一つに挙げられていた「自国でエリート教育ができる」というのは納得。

国際社会の中で日本が競争力を保つためには、低価格戦略は間違い。
高付加価値のブランド戦略が必要であることに気づかされました。

以前は、日本製は高品質というブランドがありました。
しかし、それは日本人が意識して作ったブランドではなかったため、その価値に気がつきませんでした。
結果としてバブル崩壊後、日本は値下げ競争を行い、ブランドを失っていくことになります。

渋滞学

渋滞学

渋滞というと交通渋滞を連想しますが、それだけではありません。
車、人混み、アリ、インターネット、山火事、物流・生産ライン…。
世の中渋滞だらけ。

渋滞の中にも良い渋滞と悪い渋滞があります。

交通渋滞は悪い渋滞。人混みもインターネットも。
これらの渋滞を解消するのが渋滞学の目的の一つ。

一方、山火事や病原菌の渋滞は良い渋滞。広がらないわけですから。
これらの渋滞を積極的に起こす方法を考えるのも渋滞学。
おもしろい考え方ですね。

高速道路で渋滞が発生するメカニズムをわかりやすく解説。
「渋滞学」と「学」がついていますが、やっぱり学問です。
論理的な説明でなるほどと納得しました。

幅広い分野で活躍できそうな「渋滞学」。 今後の発展に期待したい。

「金は天下の回りもの」と言いますが、
お金を私のところで渋滞させる方法、知りたいなぁ。

2007年10月13日

最近読んだ本

最近読んだ本をまとめて。

イヌが教えるお金持ちになるための知恵

お金持ちに飼われていたイヌが、自分を助けてくれた女の子にお金持ちのなる方法を教える物語。

  1. やりたいこと、買いたいものを箇条書きにしてみる
  2. 具体的にイメージするため、写真や絵を集める
  3. 目的別に貯金する
  4. 「~してみる」ではなく「~する」

など、29の知恵を授かります。
子供にも読みやすいと思いますが、大人が読んでも参考になります。

大きなケーキは人にゆずろう―お金持ちになるための“母の教訓”

主人公の女性のサクセスストーリーとしてもおもしろい。
母親の言葉を教訓として、ビジネスに活かすスタンスがすばらしい。

普及版 モリー先生との火曜日

読んだのは古い方の「モリー先生との火曜日」ですが、新しい方にリンクします。
大切なことをあらためて考えさせられる一冊。
モリー先生の最終講義―「死ぬこと・生きること」」、これも読みたい。

「ニート」って言うな!

全国に80万人いると言われるニートの実態を明かす。
大学受験生も、入院して働けない人も、統計上はニート。
マスメディアが伝えるニートのイメージは、全くの的はずれ。
不安をあおって儲けている人がいることを忘れないように。

上達の法則―効率のよい努力を科学する

効率よく上達するためにはどうすればいいか。
「初級者から中級者へ」と「中級者から上級者へ」のそれぞれの上達のポイントを知ることができました。
がむしゃらに努力するのではなく、効率よく上達しましょう。

Rubyist Magazine 出張版 正しいRubyコードの書き方講座

Rubyist Magazine 出張版 正しいRubyコードの書き方講座―RubyistのRubyistによる、Rubyistとそうでない人のための

本書の対象は、Rubyを始めたけれどRubyらしいコードが書けないRuby初級者。
Rubyで実際にコードを書いていない入門者には難しい。
中級者には、自分のスタイルの確認になるかもしれません。

他の言語、たとえばJavaから移行してきた人は、RubyでもJavaっぽくコードを書いてしまいがち。
でも、そうするとRubyの良さが生きてきません。
言語の思想・特徴を理解することで、効率よくコードが書けるようになります。

2007年10月31日

『CakePHPガイドブック』レビュー

CakePHPガイドブック』を一通り流して読みました。
まだ実際にコードは書いていません。

ざっと読んでみた感想ですが、この本一冊あればCakePHPで開発できるようなるに思います。
CakePHPの導入から実際の開発に必要な情報まで、十分に詳しく解説されています。
おそらく定番の一冊のなることでしょう。

Chapter9のセキュリティに関する章はいいですね。
セキュリティについて、どういった点に注意しなければならないかというのは、CakePHPに精通しており、かつ、実際に開発している人でないと、なかなかわからないことです。
開発する段階では、とても参考になると思います。

日本語環境用(文字コード)の設定手順の解説も嬉しいです。

あと、ソースコードが読みやすいように感じました。
ソースコードの重要な箇所は網掛けしてありコメントがつくため、ポイントがわかりやすいです。
重要箇所だけが掲載されるのではなく、前後のソースコードが省略されずにちゃんと掲載されているので、プログラムを理解しやすいと思いました。

CakePHP 1.2についての記載があるのもいいですね。
CakePHP 1.2の登場が楽しみです。
1.2がリリースされたら、1.2対応版もぜひ出版していただきたい。

初版第一刷なので、多少の誤字・脱字・コードの間違いがあるのは仕方がないですね。
検索してみたのですが、正誤表が見つかりませんでした。そのうち公開されることと思います。

Chapter7のModelについての章で、メソッドの返値についての記載がないのが、不便に思いました。
たとえば、executeについての説明(117ページ)は次の一行だけです。

queryと同様にSQLコマンドを実行します。実行結果の返却方法に違いがあります。

executeの存在価値は、queryとの返値の違いだけです。
ならば、返値がどのように違うのかの説明がないと、実際に使用することができません。

その他にも、Chapter7では全般に返値の説明が不足しているように思いました。
詳細は「CakePHP プログラマーズ リファレンスガイド」を見るとわかりますので、問題ないかもしれません。

179ページのsubmitされているかのチェックが、他の箇所と異なっていました。
なぜここだけ違うのか、理解できませんでした。

// submitされていない場合は初期表示
if (!isset($this->params['form']['submit'])) {

他の箇所では、$this->data を確認しています。

if(empty($this->data)) {

実際にコードを書いてみると、違いに気がつくかもしれません。

206ページの「updateUser()」はおそらく「updateStatus()」の間違い。

218ページのtoLowerメソッドは、無限ループしそう。(未確認)
引数が配列の時、SimpleFilterComponent::toLower($elem) が呼ばれて、その中でもまた、SimpleFilterComponent::toLower($elem)が呼ばれて…、となりませんか。

function toLower(&$elem)
{
    if (is_array($elem)) {
        SimpleFilterComponent::toLower($elem);
    }
    $elem = strtolower($elem);
}

226ページの「DboSimpler」はおそらく「DboSimple」の間違い。

まあ、ともかくCakePHPをこれから始めるには、間違いなくお薦めの一冊です。

追記: 正誤表が公開されていますね。

2007年11月02日

朝刊10分の音読で「脳力」が育つ―脳科学の最先端研究が明かす驚異の事実

朝刊10分の音読で「脳力」が育つ―脳科学の最先端研究が明かす驚異の事実

本書では、脳機能イメージング研究という、脳の活動を画像でとらえる研究を通して得られた知見を紹介しています。
多くの脳の活動状態を示す画像を使用して、わかりやすく説明しています。

右脳の都市伝説の間違いを示して、正しい事実を伝える研究者らしい文章が好印象です。

  • (都市伝説)言語理解には左脳を使う
    • 事実は右脳も左脳も使用している
  • (都市伝説)日本語は左脳、英語は右脳
    • 事実は日本語も外国語も脳は両側を使う
  • (都市伝説)ヒトは一生の間に脳神経細胞の20%も使わない
    • データを見ると間違いであることは一目瞭然
  • (都市伝説)創造力は右脳
    • 現実にはありもしないものを視覚的に思い浮かべる時には「左脳」が活性化する
  • (都市伝説)右脳を鍛えるためには特別な教材や教具が必要
    • 本書を読めば不要であることは明らか

そういえば、 右脳で描く5日間のワークショップでは、脳の説明をする時に「右脳的」「左脳的」という言葉を使っていました。
「的」とつけたのは、正確には右脳だけではないけどイメージしやすいように、という配慮だったのかもしれません。

痴呆症の原因が、「脳を使わなくなったから」という話は興味深いです。
1日10分程度の音読と計算で、老人性痴呆症の高齢者の脳機能がよみがえります。
健康な成人や若年者なら効果はより顕著だそうです。

学習や教育の本質は、教える側と教わる側のコミュニケーションなのではないかと考えさせられてしまいます。

いろいろと考えさせられます。

派遣のリアル-300万人の悲鳴が聞こえる

派遣のリアル-300万人の悲鳴が聞こえる

本書の「はじめに」でテレビドラマ「派遣の品格」の紹介がありました。
主人公は、数多くの資格を持つ「スーパー派遣社員」で時給3000円の高級取りです。

時給3000円だと、一日8時間働いて2万4千円、一月の労働日が20日とすると月収48万円。
でも、そこから、健康保険や年金の支払い、雇用保険もないし退職金もないのでその分を積み立て、ボーナスもない、などを考えると、実質は月収20~30万円ぐらいの正社員と大差はなさそう。

テレビドラマなので、とんでもない高給取りの設定をしたのだと思いますが、それでもこの程度。
「はじめに」を読んだだけで、派遣社員の悲惨さをかいま見た気がします。

外国の状況が紹介されているのが参考になりました。

日本が参考にした米国が、安い労働力を使ったため品質が落ち、国際競争力が落ちる「ロー・ロード」(安易ではあるが日建設的な道)という状況です。

一方、英国では派遣会社が人材育成に力を入れ、派遣社員のスキルアップに伴って派遣料金が跳ね上がる傾向にあるそうです。
そして、優秀な派遣社員は正社員の給与を上回るため、最近では大学を卒業した若者は、最初から派遣社員になるケースが増えているとのこと。
企業側も、正社員を派遣社員に切り替えたら生産性が向上した。

米国型よりも英国型の方が、企業も社員も幸せになれそうです。

2007年12月15日

投資信託にだまされるな! 本当に正しい投信の使い方

投資信託にだまされるな! 本当に正しい投信の使い方

これから投資信託を始める人にぴったりの入門書。

前半は投資信託の解説。
内容は平易で一般的。
類書を読んだことがある人にとっては、目新しい話はない。

後半は、おすすめの投資信託の商品と販売会社、商品の組み合わせの紹介。
すでに始めている人にとっても参考になる。

とにかく、わかりやすい。
これから投資信託を始める人に一冊だけ薦めるとしたら、本書を薦めたい。

2007年12月26日

「PHP5徹底攻略」レビュー

PHP5徹底攻略』は、PHP5の入門書です。
PHPプログラミングの経験のない入門者が対象です。

この本の構成は、ステップアップ編とリファレンス編からなります。
ステップアップ編では、PHPスクリプトをコマンドラインから動かして学んでいきます。

しかし、PHPをこれから学びたいという人はWebアプリを作りたいと思っているはずです。
PHPはWebアプリを簡単に作れるのが特徴であるのに、最初にコマンドラインを使って学ぶことに疑問を感じます。
PHPスクリプトをブラウザでアクセスして、プログラムが動作する感動を体験することで、興味とやる気が出てくると思うのです。

サンプルコードの難易度も疑問です。
ステップアップ編ではほとんど文法についての説明がありませんが、サンプルコードにはさまざまな関数が使用されています。
これから学ぼうとする人にとっては、わからないことばかり。
挫折感を味わうことにならないでしょうか。

リファレンス編は、一般的な内容です。
PHP関数リファレンスは、WebのPHP マニュアルとほとんど同じような印象を受けました。

それから、PHP5で大幅に強化されたオブジェクト指向については、説明がありません。
PHP4を知っていてPHP5をこれから学ぼうと考えている人は、『PHP5徹底攻略』はやめたほうがいいです。

『独習PHP』レビュー

『独習PHP』は、PHP5の入門書です。
PHP5ならPHP5と、ちゃんと書名に書いてもらいたいところです。
解説もわかりやすいですし、構成もわかりやすく、後から読み直す時も使いやすそうに感じました。

『PHP5徹底攻略』と違い、ちゃんとオブジェクト指向についても解説されています。
PEARやSmaryなどの説明のあり、ちょっとお得な感じです。

PHPの入門書として、お薦めできる本であると思います。

2008年01月04日

数学に感動する頭をつくる

数学に感動する頭をつくる
素晴らしい本でした。
本書を読んで、多くの発見がありました。

特に、第三章。

第三章では、数学に大切な能力の開発方法について解説されています。

  • 記憶力
  • イメージ能力
  • 発想力
  • 推理力
  • 構想力
  • 位置づけ能力
  • 洞察力

これは、数学だけに限った話ではないように思います。
プログラミングにも必要な能力です。

イメージ能力
数学では、頭の中に図形を思い浮かべて、動かしたり補助線を引いたりします。
プログラミングをする時にも、頭の中でプログラムを動かします。

発想力
数学では、問題を解く時に様々な解法を考えます。
プログラムでも同じですね。

その他の能力も、プログラミングにも必要な能力であるように思います。
数学とプログラミングは相性がいいのかも。

本書によると、将棋と数学は相性が良さそうです。
もしかすると、将棋とプログラミングも相性がいいかもしれません。

本書を読んで、数学に挑戦したくなりました。

2008年01月07日

日本のお金持ち研究

日本のお金持ちの研究

年収1億円以上の人にアンケートを実施し、その結果からお金持ちの実態を研究した本です。

弁護士は儲かるというイメージがありましたが、実際には全然そんなことはないことに驚きました。
年収1億円以上の人のうち、弁護士はたったの0.4%。
実は弁護士の収入はサラリーマンとさほど変わらず、弁護士の約20%が年収500万円未満なのです。
難関の司法試験というリスクに比べて、そのリターンは割に合わないのかもしれないと思いました。

スポーツ選手や芸能人も、割合で言えば多くありません。
わずか2.2%です。
メディアがよく取り上げているので、お金持ちのイメージがありますが、実際はごく一部のようです。

お金持ちの多い職業は企業家と医師。
この2つで半分近くを占めています。

企業家は都市部に集中しており、ビジネスの成功は都市でないと難しいことを裏付けています。
一方、医師は地方でも儲かるようです。

その他、お金持ちに関する情報がいろいろと掲載されていて、参考になる本でした。

最後に、心に残った一文。

日本の高額所得者は、優秀な頭脳を持って一流の大学を卒業するというよりも、心身ともに強靱で、かつ正直で勤勉であることが重要、と指摘している。

日本のお金持ち研究

2008年01月19日

ルノワールは無邪気に微笑む

ルノワールは無邪気に微笑む』を読みました。
一流の人の言葉には学ぶものがたくさんあります。

絶好のときこそ、その波に乗って次の作品を描く、発想をまとめる最良のチャンスだったのです。よい波が来ていて、みすみすそれを逃してしまう姿を、もうそれこそ、いくつも見て来ました。

絶好のときこそ、がんばる時期。
小さな成功に満足するとそこで終わってしまいます。
慢心せず、ひたむきに努力を続けていくことが大事なのだと思いました。

飛躍は規則正しい生活のなかからこそ生まれる

多くの人が言っていますが、やはり規則正しい生活は欠かせません。
気をつけねば。

よく世界で成功する秘訣が四つあると言われます。それは1に自信、2に勇気、3が才能で、4がニューヨークに住んでいること、というのです。

住む場所も重要な条件なようです。
確かにそうかもしれないと思いました。

デッサンをするときには、自然に目に入って来た順に描く。絵を描くときには、心ひかれた描きたいものの順に描く。そしてその順を最後まで崩さないこと。これが基本です。

伝えたいメッセージをひとつに絞る。
絵もまた一つのメッセージなのです。
これから絵を描く時には気をつけようと思います。

2008年01月20日

『ハッピーになれる算数』『生き抜くための数学入門』『こんどこそ!わかる数学』

ハッピーになれる算数』『生き抜くための数学入門』『こんどこそ!わかる数学』の3冊を読みました。

それぞれレベルは違いますが、テーマは同じです。
「仕組みを理解する」ということ、これがこれらの本のテーマです。

難しい公式を暗記するような本ではありません。
基本的なことを、その仕組みから考えていきます。
かけ算とは何か?
割り算とは何か?
分数とは何か?

なるほど、こういう考え方もできるのか、
と楽しく読ませていただきました。

試験勉強にも役に立つように思います。
試験では公式を暗記すれば点が取れますが、中学・高校と進むにつれて暗記しなければならないものが難しくなりますし、どんどん増えていきます。
でも、意味を理解すれば応用できるようになりますから、暗記が必要な量は減らすことができそうです。

ですが、むしろ試験に束縛されない大人の方が楽しみながら読めると思います。

ハッピーになれる算数』は、内容は算数のレベルです。
ところが、この本の中には東大入試問題が出てきます。
仕組みを理解して考える力を養えば、東大入試問題にも挑戦できるのです。
おもしろいですね。

数学的な考え方やルールが明文化されています。

たとえば数学は、

だれが見ても「ああ、これは、あたりまえだ…」と思うことだけをつなぎあわせて、数式を使った作文を作ること。

文章題は、

最初の式には、「問題の中に出てきた数字しか書かない」

こういう基本的なルールを知らないと、たしかに大変かもしれません。

生き抜くための数学入門』は、中学の数学レベルだと思います。

この本にあった「数学的な構え」のチェック。

  1. 宝くじを買う。とくに、ジャンボ宝くじはかならず買う。(Yes, No)
  2. 献立を思いつかなくて、スーパーでうろうろする。(Yes, No)
  3. テレビで紹介された健康法はかならず試して、たいてい三日坊主で終わる。(Yes, No)
  4. 「なぜ?」と聞くと、「うるさい!」と答える。(Yes, No)
  5. 安い、と評判のスーパーまで遠出をして、使えて外食して帰ってくる。(Yes, No)
  6. ゴールデンウィークに入ってから突然どこかに行くことを思いつく。そして、渋滞に巻き込まれる。(Yes, No)
  7. ベストセラーに出てくるフレーズを使って説教をする。(Yes, No)
  8. 映画を見ると泣いているか、寝ているかのどちらかだ。(Yes, No)
  9. 1年前にはまっていたことを思い出せない。
  10. 貯金がない。(Yes, No)

半分以上がYesだとしたら、中学校以降で学んだ数学が人生に活かされていない可能性が高いようです。

ちなみに、『ハッピーになれる算数』と『生き抜くための数学入門』は漢字にルビが振ってあります。

こんどこそ!わかる数学』は上の2冊の続編といった感じ。
この本のレベルも、中学の数学レベルだと思います。

当時の文部省によると、小中学校で算数・数学を学ぶのは、論理的思考力と論理的表現力を育て活用する態度を身につけるため。

数学の証明と、裁判官が判決文を作る過程は瓜二つ、
というのは、はっとさせられました。たしかにそうかも。
普通の会社員も、プレゼンテーションに論理的思考力と論理的表現力が必要です。

気づかないところで、算数・数学を学んで養った力を使っているのかもしれません。

これを書きながら思いついたのですが、ロジカルシンキングって、もしかして数学的思考法のことでしょうか。

2008年02月18日

Giving Tree

洋書です。でも、子供向けの絵本なので、英語が苦手でも大丈夫。

いろんな受け取り方ができる本ですね。
読む時の心の状態によって、受け取るものが変わってくると思います。

Amazonのページには、93件ものカスタマーレビューがありました。
多くの人が共感しているんですね。

ユダヤの訓え「大物」になる勉強法

世界の人口のわずか0.2%しかいないユダヤ人が、ノーベル賞受賞者の23%を占め、世界の億万長者トップ40の15%を占めています。
アメリカの人口の2%ですが、富豪の上位400家族の23%がユダヤ人です。

なぜ、ユダヤ人がこれほど成功しているのか。
その秘密はユダヤ教にあります。

祈る宗教のキリスト教と違い、ユダヤ教は学ぶ宗教です。
教育を非常に大切にしています。

この本では、ユダヤ人の教育や商売、人生についての考え方を紹介しています。

学ぶ時に受け身になってはいけない。
learn(習う)ではなく、study(究める)であること。

learnは与えてもらうものなので、苦労は少ないですが、studyは自分で努力しないといけません。
セミナーに頻繁に通っているのに実践しようとしないのは、learnであってstudyではないからかな、と思いました。

あと、生涯を通じて学び続けるということ。
生活の安定を求めて大学受験までは必死に勉強するけど、そのあとは全然勉強しない日本人と対照的です。

休日には、仕事をしてはならない。仕事のことを考えてもいけない。
ユダヤ人は、休み上手で効率的に休みます。

この本で、ユダヤ人からたくさんのことを学べます。

2008年03月27日

大人のための自転車入門

大人のための自転車入門

最近、気温も暖かくなってきたので、健康とガソリン代節約のために自転車に乗り始めました。
そんなときに読んだのが、この「大人のための自転車入門」。
入門書なので、初心者にもとてもわかりやすい。

目次は、

  1. 自転車と健康
  2. 0km―(自転車と用品の基礎知識)自転車について知ろう
  3. 20km―まずは近くを走ってみよう
  4. 50km―本格サイクリングの世界へ
  5. 目指せ100km!
  6. 自転車と環境

と少しずつレベルが上がっていきます。

最初の章「自転車と健康」も知らないことがたくさんあり、勉強になりました。

  • 脂肪を燃やすためには炭水化物が必要。全く摂らないのは逆効果。
  • 体の老化が進行すると筋力(特に下半身)が減り基礎代謝量が低下する。
  • ひざ痛によい。(こうすればひざ痛は治せる!―変形性関節症の克服法)
  • のどが渇いてからではなく、早めに水分を補給する。
  • 自転車に乗り込んで補足引き締まった足を、アメリカでは「バイクレッグ」と呼び、細いけどきれいな筋肉がついたかっこいい足の代名詞に使っている。
    女性を誘う時は「足が細くなるから」。

など。

第2章「0km―(自転車と用品の基礎知識)自転車について知ろう」は、自転車についての基礎知識。
自転車の購入を考えている人は、おおいに参考になると思います。

第3章「3. 20km―まずは近くを走ってみよう」。
買物用自転車でも、サドルの高さを正しく調整すれば、20kmは走れる。
サドルの高さが低いと、中腰の姿勢で歩くのと同じで、疲れやすくなります。

変速機の注意点。
前側のギアを内側にして後ろ側のギアを外側にすると、チェーンがはずれやすくなります。
逆に、前側のギアを外側にして後ろ側のギアを内側にすると、チェーンが切れやすくなります。

入門書として、よくできた本だと思います。

2008年03月28日

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』は財務3表(損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS))がどのように関連しているかを、わかりやすく解説しています。
こういう視点の本は初めてでした。

私が手にした本には、

2007年5月30日 第1刷発行
2007年8月10日 第11刷発行

とありました。たくさん売れたのでしょうね。
でも、この本を読めばそれも納得です。

初心者にもわかりやすい本でした。
ただ、簿記3級程度の知識がある方が理解しやすいと思います。

2008年06月08日

脳を活かす!必勝の時間攻略法

脳を活かす!必勝の時間攻略法」を読みました。

筆者は1日の実質的な時間を、

1日の実質的な時間 = (24時間 - 睡眠時間 - 無駄な時間) × 脳の活性度

とし、睡眠時間や無駄な時間を削るよりも、脳の活性度を高めることの方が重要であると言います。

脳の仕組みから、脳の活性度を高める効果的な方法を解説しています。

関連する本を何冊か読んでいますので、他の本でも書かれていることも多々ありました。
ですが、著者の失敗談などおもしろい話も多く、興味深く読むことができました。

知らなかったのは、脳は疲れを感じないけど、実は疲れるということ。
だから、脳にも休息が必要なのです。

右脳神話(と私は呼んでいる)を「右脳オカルト信仰」と呼び、注意を促している点は好感が持てます。

以前から疑問に思っていた睡眠学習も、著者はやってはいけないとはっきり書いています。
やっぱりいけなかったのだと一安心です。

脳を活性化するために何をすればいいか、時間帯ごとに何をすると効果的か、細切れ時間を有効活用する方法など、普段の生活の中で使える知識がたくさん盛り込まれていました。

新書なので安いですし、素人にも読みやすい、お薦めの本です。

知ったモン勝ち! 私はこの方法で資格を30取得しました ―無敵のラジカル・マスター学習法

知ったモン勝ち! 私はこの方法で資格を30取得しました」は、大人のための具体的な受験テクニックを解説しています。

先日読んだ「脳を活かす!必勝の時間攻略法」など脳に関する本に書かれている理論を活用されており、理にかなった学習法だと思いました。

隙間時間を有効活用しろ、といった精神論的な本ではありません。

基本書や問題集はどう選び、どう使うのか、という、具体的で実践的な学習方法です。

資格取得のための、大人の受験術といった感じです。
資格勉強を始める前に、読んでおきたい本です。

図書館に訊け!

図書館に訊け!』は、図書館で調べ物をする人に、図書館を有効に活用する方法を教えてくれる本です。
もしも、調べ物をするために図書館に行ったとき、すぐに本棚の前に立って本を探すのなら、それは効率の悪い探し方です。
目録とレファレンス・サービス、これを知るだけで図書館の使い方が変わると思います。

大学生にとって図書館は欠かせないものなのだから、大学はちゃんと図書館の使い方を教えてもいいのではないかと思いました。
また図書館の方も、もっと啓蒙活動をするべきではないでしょうか。

本の並べ方の話(ヴァールブルク研究所の逸話)はおもしろかったです。
本を並べるというのは、知的で創造的な作業であると思いました。
NDCコード順に並べるのは、管理しやすいのかもしれませんが、面白味に欠けませんか。

2008年07月21日

夜と霧

夜と霧』を読みました。

この本のことは以前から知っていましたが、何となく堅くて難しそうな気がしていたので、手に取らずにしました。
実際は、本は薄く、文章は堅くなく、読みやすい本でした。

本の評価は言うまでもありませんね。
Amazonのレビューを見ても、ほとんどが5つ星ですが、妥当な評価だと思います。

長い年月をかけて読み継がれてきた本はやっぱり素晴らしい。
自信を持ってお薦めできる一冊です。

2008年09月20日

Code Craft ~エクセレントなコードを書くための実践的技法~

Code Craft』を読みました。

サブタイトルには、「エクセレントなコードを書くための実践的技法」とありますが、この本の内容はコーディングだけではなく、幅広い対象を取り扱っています。

本書の対象は、中級を目指す初級プログラマーです。
前半ではコーディングに関する話題から始まりますが、後半になるにつれて、チーム開発や開発プロセスなど、コーディングから離れてプログラミングに関するより広い話題を取り扱います。
中級プログラマーが自分のスキルを見直す、不得意分野を学び直す、または過去のプログラムを反省するのにもいいかもしれません。

幅広い話題を取り扱いますが、それぞれの話は概論にとどまります。
より深く学びたいのであれば、そのテーマを扱っている専門書にあたる必要があります。

2008年11月22日

ヒューマンエラーを防ぐ知恵

ソフトウェアのインターフェースをよりよくする方法を学ぶために、本書を読みました。
ソフトが使いやすくなれば、顧客満足度を高めることができますし、サポートコストも削減できるからです。

この本『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』は、学術的な考察よりも、現実問題としてヒューマンエラーを防ぐ方法を提供することに力点を置いています。
精神論で解決しようとするのではなく、実践的な内容で、役に立つ本でした。

ヒューマンエラーを防ぐ知恵』で示されている15の防止策は、ソフトウェアのインターフェースを考える時の指針として活用させてもらいます。

この本の最後でお薦めされている4冊のうち2冊は、プログラマならおなじみの(もちろん私も読んだことのある)本でした。

2008年11月23日

はじめてのPython ネットワークプログラミング

はじめてのPython ネットワークプログラミング』は、Python初心者を対象に、クライアント側のアプリケーションを作成しながら、ネットワークライブラリの使い方を学ぶ本です。

この本の良いところは、実際に使用できるアプリケーションを作成することです。
ライブラリの使い方を示すコードの断片を示すだけではなく、ちゃんと使用できるアプリケーションを作成します。
このことは、初心者が興味を持って学習していく上で、重要なことだと思います。

第1章Pythonのおさらいでは、Pythonの文法をコンパクトにまとめて解説しています。
前著『はじめてのPython』で学んだ読者が復習するのにちょうど良いでしょう。

第2章FTPとTelnetでは、FTPでファイルをアップロードし、Telnetでアップロードしたファイルを操作するソフトウェアを作成します。
いろいろな用途に使用できそうなプログラムなので、これを学んだ読者はいろいろとカスタマイズして楽しむのではないでしょうか。

第3章から第5章では、SQLiteとTkinterを使用したメール送信プログラムを作成します。
GUIアプリケーションは、目に見える形で使用できますから作るのも楽しいと思います。

第6章ではGoogle Newsをメールするスクリプト、第7章では簡易RSSリーダーを作成します。
いずれも興味を持って取り組める題材だと思います。

Amazonのレビューでは、勘違いをして購入した人による不当に低い評価がなされています。
この本が対象としている人にとっては、きっと役に立つ本です。

2008年11月26日

BEST SOFTWARE WRITING

BEST SOFTWARE WRITING』を読みました。
理屈ばっかりの眠たくなるような本ではなくて、良いストーリーで楽しく読むことができました。
示唆に富む話が多く、勉強になりました。

一つは、今更ながらJavaのチェック例外について。

Thinking in Java 第3版』では、RuntimeExceptionをチェック例外を「オフ」にするためのラッパーとして使う方法を示した。 今ではそうするたびに、それが正しいことに思える。

IBMのdeveloperWorks Japanにチェック例外についての記事(Javaの理論と実践: 例外をめぐる議論)がありました。
チェック例外の利点は「例外がソースコードに文書化される」こと、 短所は「実装の詳細を不用意にさらけ出している」「不安定なメソッド・シグニチャー」等。
結局は適材適所かもしれませんが、文書化できればすべてチェックなし例外でも良さそう。
Javaに大きく影響を受けて作られたC#がチェック例外の機構を受け継いでいませんですし。

次に静的型チェックについて。

「テストされていないものは、壊れていると思え。」

コンパイラはテストの一形態にすぎないい、という考え方が面白く感じました。
大切なのは強いテスト。
コンパイルが通っただけではプログラムの品質は保証されません。

確かにその通りだと思います。
みんながちゃんとテストを書いてくれると動的型言語でも良いのですが。
開発環境のサポートなどを考えると、静的型言語の方がソースコードに情報が多い分、コード補完の機能など利点も少なくないように思います。
将来的には開発環境が賢くなると、静的型言語の利点が失われていくのかもしれません。

ちょっと脱線しますが、

もし静的型チェックがそれほど重要であるなら、なぜPythonで大きく複雑なプログラムを(静的型付け言語に比べてずっと少ない時間と労力で)構築することができるのか?

Pythonがしばしば「実行可能な擬似コード」と呼ばれる理由がわかるだろう。
これは擬似コードとして使えるくらいシンプルであるだけでなく、実際に実行できてしまうというすばらしい性質を備えているのだ。

Pythonに非常に好意的な意見だったので嬉しい文章でした。

XP(エクストリームプログラミング)について。

今日では、エクストリームプログラミングを実践していると主張しているプログラマたちの多くは、それをお気に入りのものを提供してくれるメニューみたいに扱っていて、彼らはその中から好きなものを選び(ドキュメントなし!イェイ!)、嫌いはものは無視し(テスト駆動開発、ペアプログラミング)、結果として、私たちが伝統的に「早撃ちプログラミング」と呼んでいるものに落ち着いている。

この文章には笑ってしまいました。
たしかに教典の中から自分に都合の良いものだけを選んでいて、都合の悪いものは無視しているケースが多いと思います。
テスト駆動開発とペアプログラミングの他に、ソースコードの共同所有やYAGNIもあまり実践されていないように思うのですが、どうでしょう。

BEST SOFTWARE WRITING』のような面白いプログラミングの本がもっと出版されるといいですね。

2009年01月30日

増補改訂版 Java言語で学ぶデザインパターン入門 マルチスレッド編

増補改訂版 Java言語で学ぶデザインパターン入門 マルチスレッド編』は、 Javaに限らず、他の言語においても、 マルチスレッドプログラミングを学ぶ上で非常に役に立つ本です。

この本の著者が結城浩氏であると聞けば、 この本の読みやすさ、わかりやすさは容易に想像できると思います。

この本のすごいところは、練習問題の解答の充実です。
練習問題の解答は150ページを超え、丁寧に解説されています。
練習問題もしっかりと挑戦する価値があります。

J2SE5.0では、マルチスレッドプログラミングに便利なクラスライブラリが、新たに追加されました。
増補改訂版では、このJ2SE5.0で新たに追加されたクラスライブラリについての解説も掲載されています。

新しく追加されたクラスライブラリも含めて、 Javaのマルチスレッド関連のクラスライブラリの充実ぶりを、 他の言語を使っていると羨ましく思いました。

2009年02月09日

目標とする人のインプットに目を向ける

大変参考になる話なので、お裾分けです。

誰かと同じ技術を身につけたいと思ったとき、目標とする人のアウトプットに目を向けるのではなくて、インプット(どんな経験・訓練をしたか)に目を向けることが重要です。

ノウハウを学んでいるのに、なぜ、儲からないのか?

たとえばイチローのバッティング技術を身につけたいのなら、イチローのフォームを真似するのではなく、イチローがどうやってそのフォームを身につけたのかを学び、その方法を真似する。
ということです。

ついつい華々しいアウトプットに目が向きがちです。
そうではなくて、そのアウトプットを生み出したインプットの方に目を向けることが大切なのですね。

2009年02月16日

いつのまにか変わってる地理・歴史の教科書 ~あなたの知識はもう役にたたない~

いつのまにか変わってる地理・歴史の教科書 ~あなたの知識はもう役にたたない~

大部分が歴史の話がでした。地理の話はほんの少し。

学会でも意見がまとまっていないものを多く、
これからも歴史の教科書は変わっていきそうです。

「仁徳天皇陵」や「聖徳太子」のことは聞いたことがありましたが、
日本最古の鋳造貨幣が「和同開珎」でなかったり、
江戸幕府がキリスト教徒見つけるために行った行為が「踏絵」でなかったりと、
驚くような話がたくさんありました。

青は涼しい色?暑い色?

青には、水の涼しいイメージがあります。
青に冷たいイメージがあるのは、世界共通だと思っていました。

ところが、中近東では正反対なのだそうです。

中近東では明るい青と言えば、太陽が照りつける砂漠の空の色になります。

デザインにひそむ〈美しさ〉の法則

では、何色が涼しい色なのかというと、

中近東で「涼しそうな色」と言えば緑なのです。
中近東の人たちは、緑から木々の色、つまりオアシスを想像します。

デザインにひそむ〈美しさ〉の法則

なるほど。
世界は広いです。

2009年03月23日

高度経済成長は復活できる

豊富なデータに裏付けられた説得力のある主張は、とても刺激的だった。

常識と思っていたものが実は幻想であり、事実は全く異なるものであった。

例えば、県別に収入を比較するとき、通勤時間も考慮すると意外な事実が浮かび落ちる。

一人あたりの県民所得が1位の東京都は、通勤時間ロス引き後勤労世帯成員1人当たり実収入では17位にまで下がる。

大阪府は一人あたりの県民所得は6位だが、通勤時間ロス引き後勤労世帯成員1人当たり実収入では41位だ。

通勤時間ロス引き後勤労世帯成員1人当たり実収入を見ると、41位大阪府、42位埼玉県、44位千葉県、45位兵庫県と、都市圏が最下位争いをしている。

これは大都市圏の社会基盤整備が冷遇され続けてきたためである。

「所得の高い大都市圏から所得の低い地方に富を再分配するのは当然だ」という常識的な主張は、実は大間違いなのである。

多くの人がこの本を読んで、日本の本当の姿を知って欲しいと思う。

2009年03月30日

DELPHI 2009 HANDBOOK

DELPHI 2009 HANDBOOKを読みました。
この本を読むまでは、Delphi2009はDelphi2007からUnicodeのサポートと小さな修正が行われただけだと思っていました。
実際には、多くの新しい機能が追加された優れた開発環境だったことがわかりました。

DELPHI 2009 HANDBOOKは、Delphi 2007 HANDBOOK(日本語未翻訳)の続編という位置づけになっています。
そのため、本書の内容はDelphi2009の新機能と変更点に絞られています。
Delphi2009で新たに追加された機能だけで400ページ以上の本になったわけです。

本書のターゲットは、旧バージョンのDelphiからDelphi2009へ移行する開発者です。
これからDelphiを始める初心者には難しすぎると思います。
C++Builder2009ユーザーもObject Pascalの新機能以外は参考になります。

本書の内容を大きく分けると次の4つに分けられます。

  • Unicode
  • IDEの新機能
  • Object Pascalの新機能
  • VCLの新機能

Delphi2009の一番の目玉であるUnicodeについては、多くのページが割かれています。
次の3つに分けられます。

  • Unicodeについての解説
  • UnicodeString型の説明
  • 旧バージョンからの移行方法

たくさんのサンプルコードが掲載されており、実際に動作を確認しながら読み進めることができるようになっています。
サンプルコードはこちらからダウンロードできるようです。

IDEにも、いくつもの新機能が追加されています。
便利になった新しい機能を上手に使い、効率よく開発したいものです。

  • 新しく追加されたプロジェクトオプションの項目について
  • リソース管理の機能
  • ツールパレット検索ボックス
  • プロジェクトマネージャビュー
  • その他いろいろ

Object Pascalの新機能として、2つの機能が説明されています。

  • ジェネリクス
  • 無名メソッド

ジェネリクスと無名メソッドによって、Object Pascalがより生産性の高いプログラミング言語になったことがわかります。
無名メソッドはC++Builderにはない機能ですから、とても羨ましいです。

それから、242~243ページの「オーバーロードにおける変更」は注意が必要です。
特に「あるメソッドを呼び出していたコードが、以前と異なるメソッドを呼び出すようになってしまう」は気がつきにくいだけに問題です。
ただし状況が限られているので、問題を理解していれば何とかなりそうです。

VCLの新機能で説明されているコンポーネント

  • 新しいコンポーネント
    • バルーンヒント
    • ButtonedEdit
    • CategoryPanelGroup
    • Ribbon
  • コモンコントロールの新機能
    • Button
    • Label
    • RadioGroup
    • Edit
    • ComboBox
    • ListView
    • ProgressBar
    • HeaderControl
    • RichEdit

VCLの新機能ですが、4つの新しいコンポーネントとリボンのサポートに加えて、 Windows XPやWindows Vistaで追加されたコモンコントロールの新機能がサポートされました。
リボンコントロールについては、1つの章をまるまる使って説明しています。

# 古いOSで新機能を使用するとどうなるのか、検証しました。
# => C++Builder2009でコモンコントロールに追加された新機能の検証

他にも、COMサポートやdbExpress、DataSnap2009についての解説もあります。

と、盛りだくさんの内容でした。

本書では、Delphi2009の新機能・変更点に内容が絞られています。
Delphi7からDelphi2007までの間に追加された機能、例えばクラスヘルパーなどについては、説明がありません。
Delphi 2007 HANDBOOKの日本語訳も出版してほしいです。

Django×Python

Django×Pythonを読みました。
Djangoについて書かれた希少な本です。

非常にもったいないというか、惜しい本でした。
ターゲットが曖昧なのです。

「Chapter2 Djangoを使いこなすための基礎知識」では、Pythonの入門的な内容になっています。
読者層は、Pythonを使ったことのないまったくの入門者です。

一方、「Chapter4 Djangoをきちんと使う」「Chapter5 Djangoを使いこなす」では、説明が足早に進みます。
読者層は、Djangoに多少触れたことのあるDjangoユーザです。
Python入門者には、難易度が高すぎます。

Appendixの「Djangoチートシート」が100ページ以上もある充実した内容になっています。
本書全体の半分近くを占める分量です。
これほど充実させる必要性を感じません。
Appendixを削り、Chapter4~Cpahter5の内容を充実させ、Python入門者にもわかるレベルにした方が良かったと思います。

うーん、もったいない。

2009年04月15日

みんなのPython Webアプリ編

みんなのPython Webアプリ編』は、丁寧な説明でしっかりした内容のWebアプリケーションの入門書です。
とても良い入門書で、対象のプログラム言語がJavaやPHPなど初心者プログラマが多いプログラム言語だったら、もっと人気が出たと思います。

本書の対象読者は、Pythonをかじったことがある、CGIプログラミングが初めての人です。
Pythonが初めての人は『みんなのPython』などの入門書で、Pythonを学んでからの方が良いです。

本書が対象としているPythonのバージョンはPython 2.5以上。
現在、主流のバージョンです。

内容についてですが、まず、Webアプリケーションの仕組みをしっかりと説明しているところが良いです。
「CHAPTER 01 Webアプリケーション概論」でWebの仕組み・HTTPの概要を学び、「CHAPTER 05 HTTPの詳細」でHTTPの詳細を、「CHAPTER 13 Webアプリケーションサーバを使った開発」でWebサーバの仕組みを学びます。
このような土台となる部分をちゃんと学ぶことができることは価値があると思います。

作成するサンプルプログラムは、簡単なCGIプログラムから始まり、MVCモデルへと更新します。
そして、テンプレートエンジン、O/Rマッパー、入力フォームを抽象化したウィジェットの作成へと、 本格的なプログラムになっていきます。

サンプルプログラムがRSSリーダーだけでなく、掲示板やメールフォームなど、よく使われるものを取り上げても良かったかなと思います。

CHAPTER 15では、クロスサイトスクリプティングやSQLインジェクションなど、セキュリティについてもしっかり解説されています。

本書では、WebやHTTPについてもちゃんと学べて、MVCモデル・テンプレートエンジン・O/Rマッパーなど本格的なWebアプリケーションの知識を学ぶことができます。
Webアプリケーションの初心者が学ぶには、とても良い本だと思います。

2009年04月25日

そもそも株式会社とは

そもそも株式会社とは』を読みました。

この本は、難しい内容を一般人に理解できるように、とてもわかりやすく説明しています。
著者は岩田 規久男氏です。といえばわかりますね。

株主は次の権利を持ちます。

  • 取締役の選任・解任といった会社の方向を決定づける権利
  • 会社が解散するときに残余財産の分配を受ける権利

このことから「会社は株主のものである」といえます。

しかし、そのような見解に対して、次のような反論があります。

  • 株主丸取り論
  • 経営者が株価を気にするようになると、現場や人を大切にしなくなる

このような反論が誤解であり、株主主権に対するいわれなき恐怖に過ぎません。

ということを、わかりやすく説明しています。

専門知識を持たない初心者でも安心して読めます。

2009年07月04日

できるかなV3

できるかなV3

できるかなV3』を読みました。
とても読みにくい漫画ですが、脱税編だけでも読む価値あり。

ごねると税金は安くなる。

領収書に書かれている人が実在しないと税務署員に問い詰められると、
「ゴーストライター。だから実名は出せないの」

などなど。

最終的に、1億円の税金が1,500万円まで安くなっています。
正直に税金を払うことが、ばからしく思えてきます。

この漫画に出てくる税理士さんもすごい。

「けっこうするどい領収証も通りましたからねえ。
かなりやり込めたと思いますよ。
このコクヨの一番安い紙の300万円とかねえ。
おせっかいですけど印紙くらいははりなさいよ。」

そんなとんでもない領収書が通るのか。

「本税を払えば利息に利息はつけられないので、」
「つけられないので?」
「西原さんちにずーっと督促が送られてきます。それがおイヤでなければ」
「なければ?」
払わない。」

すばらしい。

2009年07月08日

C++テンプレートテクニック

C++テンプレートテクニック』を読みました。

C++テンプレートテクニック』は今までありそうでなかったC++のテンプレートの入門書です。
Modern C++ Design』のような高度な内容の本はありましたが、テンプレートの入門書というのはこの本が初めてではないでしょうか。

目次
Chapter 1 テンプレート前史
Chapter 2 テンプレートの基礎
Chapter 3 Generic Programmingの基礎
Chapter 4 テンプレートメタプログラミング
Chapter 5 SFINAE
Chapter 6 ポリシー
Chapter 7 Type Erasure
Chapter 8 CRTP
Chapter 9 テンプレート型変換演算子
Chapter 10 Expression Template
Chapter 11 Extension Member Function
Chapter 12 C++0xにおけるテンプレート
Appendix 参考資料

Chapter 1~Chapter 3までがテンプレートの入門編。
Chapter 4以降からテンプレートを使ったテクニックを紹介。

テンプレートの基礎知識を体系的にまとめたものを見た記憶がありませんので、 Chapter 1~Chapter 3の入門編はテンプレート初心者にとっては貴重な情報だと思いました。

私がおもしろいと感じたのはChapter 4以降。
プロパティや戻り値の型によるオーバーロード、拡張メンバ(既存クラスにメンバ関数を追加)など、今まで不可能と思っていたことを実現するテクニックなど。

テンプレートの入門書としてはもちろん、復習と知識の更新にもお薦めの一冊です。

C++テンプレートテクニック』を読んだら次は『Modern C++ Design』に挑戦ですね。

2009年08月01日

すべては一杯のコーヒーから

スターバックス成功物語』がおもしろかったので、 タリーズの『すべては一杯のコーヒーから』を読みました。

すべては一杯のコーヒーから』には単行本と文庫本があります。
読むなら文庫本をお薦めします。
文庫本には、単行本発売後の話が第7章「その後の出来事」として追加されているからです。

すべては一杯のコーヒーから』は著者の自伝です。
物語の半分以上は、タリーズと出会う前の話でした。
タリーズの物語を期待していた私は、この本の半分は必要のない話だと思いました。

後半のタリーズ創業からの話はおもしろいです。
話の焦点をタリーズに絞ってもらいたかった。

スターバックス成功物語』はコーヒーへの愛情が感じられました。
読み終わった後はスターバックスにコーヒーを飲みに行きたくなりました。

一方、『すべては一杯のコーヒーから』を読み終えた後、 タリーズに行きたいとは思いませんでした。
松田公太社長にとってタリーズは自分の夢を実現する手段の一つに過ぎないのだと、 私が感じたからでしょう。
本書のタイトル「すべては一杯のコーヒーから」も、タリーズは夢の第一歩に過ぎない、 という意味なのかもしれません。

なんだか否定的な記事なってしまいましたが、タリーズ創業からの話はおもしろかったですし、読みやすい本なので一気に読み終えることができました。

2009年08月06日

C++言語のカラクリ 誕生の秘密と舞台裏

C++言語のカラクリ 誕生の秘密と舞台裏』は、C++昔話と、C++ユーザーによる座談会の2部構成からなっています。
C++昔話が6割、座談会が4割ぐらいです。
本書は、C++を好きな人が趣味で読むのに適していると思います。
正直なところ、この本を読んでC++プログラミングが上達するということはないと思います。

座談会での、επιστημη氏の発言で面白いものがありました。

プラウガー(P.J Plauger)が言っていた言葉に、C++はオブジェクト指向言語ではなくオブジェクト許容言語だというのがあります。

「オブジェクト許容言語」はうまい表現だと思いました。

ビアネ(Bjarne Stroustrup)自身もオブジェクト指向だと、この二十数年のなかで一度も言っていない。 あくまでも機能の一つでしかないんだと。

C++はマルチパラダイムを意識して作られていますからね。
そのセンスはすばらしいと思います。

2009年08月07日

プログラム言語における見た目と意味の不一致

BEST SOFTWARE WRITING』を読んで、なるほど、と思った。

C系の言語(C、C++、Java)では、人の目はインデントをブロックkの定義としてみるが、コンパイラの方は{}を見る。
だからインデントと括弧が対応していない場合、人の目にはよりわかりにくいほう──{}──が勝つことになる。
(中略)
なぜ1つの方法にこだわって、コードの見た目と意味が一致するようにしないのか?

BEST SOFTWARE WRITING

インデントのずれによるソースコードの見た目とコンパイラが解約する意味の不一致が、 バグを生み出すことは珍しくありません。

# よくある間違い
if (x > 10)
    y = 0;
    z = 0;

コーディング規約を定めることで、このようなバグを減らそうとする試みが一般的です。

# コーディング規約で{}を強制
if (x > 10) {
    y = 0;
    z = 0;
}

Pythonはインデントを文法に組み入れることによって、見た目と意味を一致させて、効率的なプログラミングを実現しました。
プログラム言語に「ソースコードの見た目」という情報を取り入れたという点で画期的だったのかもしれません。

それから、

何らかのコーディングスタイルが、一般的なスタイルと比べて非常に大きな利点を持つことは、 これまでのところなかったし、これからもないだろう。

BEST SOFTWARE WRITING

というのも、その通り。
ハンガリアン記法という効率の悪いコーディング規約もあるけど。

2009年08月08日

日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由

日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由

人月でビジネスをしているITベンダー(SIer)はダメだ。
という話。

解決策としては、
ダメな会社は辞めよう。
ということか。

座談会をまとめて一冊の本にしたらしい。
座談会の参加者はおそらく全員40歳以上だろう。
話の内容に偏りと違和感を感じた。

Amazonの高評価が不思議だ。

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