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決断力

決断力

羽生 善治氏が書いた本。その内容は、将棋だけではなく他の分野でも非常に参考になる。文章も読みやすいし、お薦めの本である。

以下、個人的なメモ。

「仲間に信用されることが大切だ」
といったのは大山康晴先生だが、これこそ必勝の秘訣。

これは勝負事に限らない。ビジネスをスムーズに進めていく上でも重要な要素だ。

数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞した小平邦彦先生は、 数学は高度に感覚的な学問であるといい、それを「数覚」と名付けている。

将棋も、補助線のようなひらめきを得ることができるかどうかが強さの決め手になるという。

プログラミングにおいても、同様なことはいえると思うのだが、どうだろうか。
天才プログラマの方に聞いてみたいところだ。

日本のビジネス界や研究者の世界では、管理職に一旦つくと、それまでの研究や仕事から足を洗ってしまう人が多いと聞いている。 アメリカでは、たとえば、カーネギー・メロン大学でロボット工学研究所の所長をつとめた金出武雄先生は、所長を辞めると、すぐに教授として研究現場に戻り、最先端のロボットの研究に励んでいる。 そういうシステムがない日本は、貴重な知的人材をムダにし、同時に、その人の生きがい、やりがいをも奪うことになっているのではないだろうか。

老人に生きがいについての言及であるが、興味深い。

IT業界では、何年もプログラミングをしていないSEも少なくないらしい。
そんなSEが設計するシステムは時代錯誤であり開発効率が悪いようだ。

何事であれ、最終的には自力で考える覚悟がないと、情報の山に埋もれるだけである。 パソコンで勉強したからといって、将棋が強くなるとはいえないのだ。

インターネットのおかげで、欲しいコードを検索して簡単に見つけることができる。
ホームページのソースコードをコピー&ペーストして、できたと思っている若いプログラマの姿を見ると疑問を感じる。
ソースコードの質も不安だが、そのプログラマが技術力を向上していけるのかも心配になる。
もしかすると、納期が短くて十分に考える時間がないのかもしれない。
そうだとすると、組織の考え方に問題があるのだろう。

私が、将棋を上達するためにしてきた勉強法は、初心者のころも今も変わらない。 基本のプロセスは、次の四つだ。
・アイディアを思い浮かべる。
・それがうまくいくか細かく調べる。
・実戦で実行する。
・検証、反省する

重要なことだと思うのでメモ。

若いころ、独りで考え、学んだ知識は、今の将棋では古くなり、何の役にも立たない。 だが、自分の力で吸収した考える力とか未知の局面に出会ったときの対処の方法とか、 さまざまなことを学べたと思っている。

最新情報の入手が容易になっていくと、情報や知識で差別化することが難しくなる。これからは、長い時間をかけて考えてきたことや身につけてきたことに、より価値が出てくるのではないかと思う。

以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。 しかし今は、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。

今は転職ブームのようで、入社後、数年で退職することが珍しくないようだ。だが、同じ会社でずっと情熱をもって仕事をすることも、もっと評価されるようになると思う。

その道場では普通八級からスタートするのだが、そのときに席主がつけてくれたのが、十五級である。 私が幼かったこともあるだろうが、実力よりも低いところからスタートして、 昇級していく楽しみを与えた方がいいという席主の配慮であった。

少しずつでも進歩しているという実感がないと、継続するのは難しい。適切な目標を設定すること。大切なことだ。

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2006年06月14日 12:48に投稿されたエントリーのページです。

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