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時間の分子生物学

時間の分子生物学

最近読んだいくつかの本で、時間の分子生物学が紹介されていたので、読んでみました。
読んでみて納得。すばらしい一冊でした。

本書は、生物時計と睡眠について、遺伝子レベルで解説しています。
というと難しそうに聞こえますが、素人にもわかりやすく読みやすく書かれています。

湾岸戦争で米軍が犯した失敗の一つに、味方の輸送機にミサイルを発射したことがあります。
このミスが起こったのは、眠くなりミスをしやすい時間帯だったことが、学会で発表されています。
睡眠について知ることは、ミスを減らして仕事の効率を上げることに役立ちます。

眠気は夜が強く日中は弱いのですが、午後二時頃に大きなピークがあるそうです。
また、夕方から早い夜にかけて(18時から20時くらい?)非常に眠気の弱い時間帯(フォービッドン・ゾーン)があります。
午後二時頃には、集中力が必要な重要な仕事は避けた方が良さそうです。

最近よく聞く「午睡」の効果ですが、元ネタは産業医学総合研究所の高橋正也氏らの研究みたいですね。
午睡を上手にとることで、午後の仕事の効率を上げて気持ちよく働くことができるようです。
時間は15分から30分、それ以上眠ると覚醒に時間がかかり作業効率が落ちます。
午睡する前にコーヒーを飲んでおくと、ちょうど効いてきた頃に目が覚めるという、ちょっとしたテクニックが紹介されていました。

「早寝早起き」よりも「早起き早寝」の方がいいそうです。
夜早く寝ても、生物時計が送れたままでは早く起きることはできません。
生物時計を進めるには、朝の早い時間に光を浴びる必要があります。
朝早く起きる習慣を作るには、まず朝早く起きて朝日を浴びることから始めると良いようです。

人間の生物時計の周期は25時間という話を聞いたことがありましたが、これはアドリブ条件下の限定的な話だそうです。
完全に外部の影響を除いた環境下では、年齢によらず、ほぼ24時間ということです。
ところで、この実験の被験者になるボランティア、謝礼は6週間の場合で100万円を越えるそうです。

目覚まし時計が鳴る直前に目が覚める仕組みも解説されていました。
通常、起床時間の1時間前から増え始める血液中のコルチゾールが、起きたい時間の直前になると増え始めます。 脳が生物時計を使って、今何時なのかを推測して、起きるための準備を始めているのです。
普通、意志では制御できない自律神経機能を、意志の力で、それも睡眠中に制御しているという、不思議な現象です。

まだまだ興味深い話はたくさんありましたが、長くなりましたので、この辺で終わります。

とにかくおもしろい、お薦めの本です。

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2007年08月13日 09:29に投稿されたエントリーのページです。

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