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チェンジ・ザ・ルール!

要点は次の2つ。

  • ITの利益を享受するには、IT導入前のルールを変えなくてはならない。
  • ソフト会社はテクノロジーだけでなく、バリューを提供するのだ。

ソフト会社やソフトウェアの導入を検討している会社が直面する一般的な問題と解決方法が描かれている。是非とも読んでもらいたい一冊だ。

「テクノロジーの『物理的な』限界を取り除くだけでは不十分だ。たとえ表面的には取り除かれたとしても、実はまだ存在している。ルールが変わらなければ、完全になくなることはない。」

新しいソフトを導入して今までの物理的な制約を取り払っても、物理的な制約があった時代のルールをそのままにしていては、導入したソフトのメリットを享受することはできない。ソフトをインストールしておしまい、ではないのだ。

ITの導入は重要な経営戦略である。パソコンに詳しい社員に任すような仕事ではない。そのことを知らず、今までにも多くの企業が失敗してきた。

「それともう一つ、三つ目はトップマネジメント、つまり経営幹部の使う言葉。利益だ。これが最も重要だ。純利益や投資収益率とかいったお金の話だ。キャッシュだよ。私のところの人間も君のところの人間も、この言葉は話さないじゃないか。」

ソフトを導入する会社は、そのソフトが欲しいのではなく、ソフトがもたらす利益が欲しいのだ。ソフト会社は、データフローとかインテグレーションとか、コスト削減や生産性の向上でなく、どれだけの利益をもたらすのか説明できるか。

「考えてもみてください。もしシステム導入の早い段階で、利益的に何らかの結果を出すことができればどうなるのか。プロジェクトをずっと円滑に進めることができるはずです。」

大企業に比べ体力のない中小企業は、その分リスクを冒すことに対してより慎重だ。システムの導入でどれだけ利益が向上するか示すこと、早い段階で利益を出すこと、これは中小企業のシステム導入において重要なことかもしれない。

たとえば、エクストリーム・プログラミング(XP) では、ビジネスの最も価値のある機能から順に、短いサイクルでリリースする。短期リリースによって、顧客企業の利益を最大化する。他にも様々な方法があるだろう。

「コンピュータにシステムを追加するのは簡単なことだ。どんなシステムでも追加できる。そんなことは問題じゃない。本当に結果を出したいなら、それ以上の努力が求められるさ」

システムを導入する企業は、「それ以上の努力が求められる」ことをしっかり理解しなければならない。さもなければ、結果を出すことはできない。覚悟はできているか。

ソフト会社はそのことを説明できているだろうか。

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2005年09月26日 01:05に投稿されたエントリーのページです。

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