開発や日常業務で使い続ける Mac には、定期的なメンテナンスが不可欠です。
不要ファイルや更新されていないパッケージの放置は、システムのパフォーマンス低下や開発環境の不安定化を招く原因となります。
本記事では、Homebrew・Mac App Store・Docker・Xcode など、主要なツールのアップデートおよびクリーンアップを一括で行うためのコマンドを紹介します。
コマンド一覧(概要)
# Homebrewの定義情報とインストール済みパッケージをアップデート
brew update && brew upgrade
# GUIアプリを含む全Caskアプリをアップグレード(自動更新アプリも対象)
brew upgrade --cask --greedy
# 古いパッケージとキャッシュを削除し、ストレージを最適化
brew cleanup
# 参照されなくなった不要な依存パッケージを削除(Homebrew 4.0以降)
brew autoremove
# Homebrew環境の健全性をチェック(警告が出たら適宜対応)
brew doctor
# Mac App Storeアプリを一括アップデート
mas upgrade
# Xcodeの派生データや不要シミュレータを削除
xcrun simctl delete unavailable
rm -rf ~/Library/Developer/Xcode/DerivedData/*
# 未使用のDockerリソースとボリュームを削除(慎重に実行)
docker system prune -f --volumes
1. Homebrew パッケージの更新とアップグレード
brew update && brew upgrade
Homebrew のパッケージ定義情報を最新化し、インストール済みの CLI ツールを一括でアップグレードします。
セキュリティパッチの適用や新機能の取り込みにより、開発環境の安定性と安全性を確保するための基本的なメンテナンス操作です。
2. GUIアプリ(Cask)の包括的アップグレード
brew upgrade --cask --greedy
Homebrew で管理される GUI アプリケーションを含めてアップグレードします。
–greedy を指定することで、自動更新機能付きのアプリ(例:Chrome、Slack など)もアップグレード対象になります。
3. 古いバージョンやキャッシュの削除
brew cleanup
不要になったインストール済みの古いパッケージやキャッシュを削除し、ストレージの空き容量を確保します。
定期実行がおすすめです。
4. 孤立した依存パッケージの削除(Homebrew 4.0以降)
brew autoremove
他のパッケージから参照されていない依存パッケージを自動で検出し削除します。
Homebrew 環境をスリムかつクリーンに保つのに有効です。
5. Homebrew 環境の健全性チェック
brew doctor
Homebrew の設定やリンク状態など、環境の不整合を診断します。
警告が出た場合はその内容に応じて対応することで、潜在的なトラブルを未然に防げます。
6. Mac App Store アプリのアップデート
mas upgrade
mas CLI を使って、Mac App Store でインストールしたアプリを一括でアップデートします。
GUI を使わずに済むため、自動化にも最適です。
7. Xcode 関連のクリーニング(容量削減に有効)
xcrun simctl delete unavailable
rm -rf ~/Library/Developer/Xcode/DerivedData/*
Xcode を使った開発では、以下のような不要ファイルが溜まりやすく、ストレージを圧迫します。
- 利用できなくなった古い iOS シミュレータ
- ビルドごとに自動生成される派生データ(DerivedData)
これらを削除することで、数GB単位のストレージ空き容量を確保できる場合があります。
特にモバイルアプリ開発者にとっては、定期実行が推奨されるクリーニング項目です。
8. Docker の未使用リソースとボリュームの削除
docker system prune -f --volumes
未使用の Docker イメージ・コンテナ・ネットワーク・ボリュームを一括削除します。
実行前にリソースの使用状況を確認し、誤削除を防ぎましょう。
まとめ:メンテナンスを習慣化して安定した Mac 環境を
Homebrew や Docker を利用する開発環境では、依存関係の肥大化や不要ファイルの蓄積は避けられません。
以下のようなスクリプトにまとめて、定期的に実行する運用体制を整えることで、健全な開発基盤を維持できます。
実行手順を自動化するスクリプト例
#!/bin/bash
# Homebrewパッケージ更新とクリーンアップ
brew update && brew upgrade && brew upgrade --cask --greedy
brew cleanup && brew autoremove
brew doctor
# Mac App Storeアプリのアップデート
mas upgrade
# Xcode関連の不要ファイル削除
xcrun simctl delete unavailable
rm -rf ~/Library/Developer/Xcode/DerivedData/*
# Dockerリソースの削除
docker system prune -f --volumes