良い意味で期待を裏切られた本。
書名から判断して、”簡単に外国語の読み書きができるようになるノウハウ”を期待して読んだのですが、全然違う内容でした。
月収100万円超の特許翻訳者による、効率のよい翻訳のノウハウが紹介されています。
この本で紹介されているノウハウは翻訳以外にも活用でき、自分の仕事のやり方を見直したくなりました。
(1)問題を細分化しよう
漠然とした課題は細分化するすることで、解決策が見つかります。
たとえば、「メールを早く書くにはどうすればいいか」という問題の場合、メールを書くときの作業を細分化してみます。
- キーボードで文字を入力する
- 漢字やカタカナに変換する
- タイプミスを修正する
- 誤変換を修正する
- 文章を校正する
これらの作業の一つ一つに対して「自動化できないか」「効率化できないか」「作業を省けないか」を考えます。
「キーボードで文字を入力する」「タイプミスを修正する」作業を効率化するには、本書で紹介されている東プレの「Realforce」を使うことで実現できそうです。
「漢字やカタカナに変換する」「誤変換を修正する」作業を効率化するには、これまた本書で紹介されている日本語入力の定番ソフト「ATOK」を使います。
「文章を校正する」には本書で紹介されている「Just Right!」が役に立ちます。
「メールを早く書くにはどうすればいいか」と漠然と考えるとなかなか解決策が思いつきませんが、細分化することで良い案が見つかります。
(2)ツールを熟知しよう
本書を読んで驚いたことの一つが、ツールの使いこなしでした。
著者はMicrosoft Wordをお使いのようですが、ショートカットキーはもちろんのこと、ワイルドカードを使った検索や置換、マクロプログラムまで活用しています。
Microsoft Wordを使っている人は多いと思いますが、ここまで使いこなしている人はどれくらいいるでしょうか。
『達人プログラマー―システム開発の職人から名匠への道』にも、日常的に使用するエディタの機能を熟知しろ、といった話があったと思います。たしか。
本書を読んで、Emacsをもっと使いこなすために勉強しようと思いました。
他にも、原文を上から順に一文ずつ翻訳する方法ではなく、一括置換を活用して翻訳する「重ね刷り」方式の翻訳といった常識のとらわれない手法は参考になりました。
「重ね刷り」方式では、「できたことから分納して欲しい」という翻訳会社側の要望に対応できません。そこで、どう対応しているか。
ここを読みながら、アジャイル方式で開発したいけど関係会社のためにできない、とあきらめる前にやるべきことがあるだろうと思いました。
本書には自分のしている仕事を見直すヒントがたくさんあると思います。